キセキに愛された華3【黒子のバスケ】

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その後の残り2試合、どちらもあたし達は負けた。その理由ははっきり分かっている。突然のテツの不調、大我の欠場、それらが不協和音を生み、勝てる可能性の合った試合も惜敗。誠凛高校のインターハイへの挑戦は終わってしまった。


いつもと同じようにテツと家へと帰る道を歩く。けれど今日はテツも下を向いていて、会話は一切ない。




『ねぇテツ。』




頭の中で蘇る、昨日今日の試合。あれはテツ達なら勝てる試合だったはずだ。そして勝っていたら、インターハイにいける可能性だって0じゃなかった。




『なんであんなに急に調子が悪くなったの？』





テツからの返事はない。下を向いて、拳を震えわせている。悔しいのは分かってる。あたしだって悔しいし。それに桐皇戦の後から大我とテツが話してないのも知ってる。





『大輝にパスが通じなかったから？負けたから？それとも大我になにか言われて、大輝と決別した日を思い出したから？』

黒子「っ！」




全て図星なんだろう。拳を握る力が強くなっている。そして肩も震えてる。でも今、慰めや同情は違うと思うから。




『今日も昨日も、あの空気をテツなら変えれたはずだよ？そんな負けたからとか、大輝に通じなかったからとかでグルグル考えてていいプレーができるの？バスケを楽しめてるの？』

黒子「楽しめるわけっ、ないじゃないですかっ。」




ポタポタとテツの足元に水が落ちて、コンクリートが色を変える。





『ならそんなに負けを引きずって可能性を0にしてる暇なんてないんじゃないの？今が、強くなるときじゃないの？

多分、いや絶対、大我はもっと強くなる。今足止め食らってるテツはすぐに置いてかれちゃうよ？』

黒子「でもっ、僕は....。」





今テツは立ち止まるときじゃない。壁を乗り越えるべきところ。皆の影として働くパスやスティールでもできることはまだまだある。テツはそこに気づけるとあたしは信じてる。だから今は突き放すことで背中を押す。





『あたしはあたしでできることをする。皆に置いていかれないように。昨日今日のテツは何がしたいのかわからないよ...？』

黒子「っ！Aさ、」




立ち止まっているテツを置いて、あたしは歩みを進めた。後ろを一度も振り返らずに。そしてポケットから携帯を取り出し、ある人に電話を掛ける。





『もしもし。』

「Aからかけてくるなんて珍しいな。どうした？」

『急ぎで頼みたいことがあるの。













アレックスさん。』

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