27.お見舞い ページ27
Aさんと琴音さんが双子だと知ってから暫く経った頃。
「よっ、炭治郎!」と村田さんがお見舞いに来てくれた。
村田さんは那田蜘蛛山での仔細報告のため柱合会議に召喚されたらしい。
「地獄だった…。怖すぎだよ、柱…」
どんよりした空気を纏った村田さんの顔は凄く暗い。
「最近の隊士はめちゃくちゃ質が落ちてるって、ピリピリしてて。那田蜘蛛山行った時も命令に従わない奴とかいたからさ…。その“育て”が誰かって言及されて…」
「あれ?村田?」
話しを聞いていると、廊下の方からそんな声がする。
「その声はAだな」
振り返った村田さんがAさんを見た。
「辛気臭い顔だね。怪我人に愚痴なんてダメだよ」
「うるせーな」
俺たちの前までやってきたAさん。
二人はとても親しいようだ。
でも隠と言えば、どこか隊士を敬うような印象があった。
「お二人はお知り合いなんですか?随分仲良く見えますけど…」
尋ねると村田さんが「あぁ」と頷いた。
「俺たち同期だからな」
「同期…?」
聞き返すとAさんが頷く。
「一緒に最終選別を受けた仲なの」
「実力はAの方が上だったけどな。本当、勿体ないよ」
「やめてよ!私は向いてないと思ったから辞めたの!!」
「はいはい」
あしらうような村田さん。
少し聞いただけなのに、言い合いが始まってしまった。
「そんなこと言ってないで、早く私を追い越しなよ!仇取るんでしょ!」
Aさんが言うと村田さんの顔つきが変わる。
「あぁ、勿論だ」
そうか。村田さんも大切な人を………
「なに辛気臭い顔してるんだよ、炭治郎」
「え?あ、すみません…」
「お前は妹のために頑張れよ」
勇気づけてくれる村田さんに「はいっ!」と頷く。
「村田も頑張ってね」
Aさんが言うと、力強く「おう」と返事をした村田さん。
「あら?皆さんこちらにお揃いで。こんにちは」
しのぶさんの声がした途端、村田さんがビクッと体を跳ねさる。
「あっ、どうも!さよなら!!」
勢い良く立ち上がって、しのぶさんにお辞儀すると村田さんはそそくさと帰っていった。
「あんな調子で大丈夫かな?」とAさんは苦笑いで、しのぶさんの方は「あらあら、あんなに急いでどうしたんでしょう?」と不思議そうに笑っていた。
村田さんの為に言わない方が良さそうだ。
そう思っていると、しのぶさんが俺たちを見てこう言った。
「そろそろ機能回復訓練に入りましょうか」
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時