20.実弥と炭治郎くん ページ20
「実弥、隠の方を苛めちゃ駄目よ」
はぁっと小さなため息と共に告げると、彼にギラギラと好戦的な眼差しを向けられる。
「琴音、お前冨岡と一緒になって馬鹿隊員と鬼を庇ったらしいなァ?一体全体、どういうつもりだァ?」
「どうもこうもないわ。私はただ、話を聞いてからでも遅くないと判断しただけよ」
「何言ってやがるゥ」
キッと彼の目が鋭く尖る。
その後ろでは、実弥に木箱を取られた隠が申し訳なさそうにしのぶちゃんを見ていた。
「胡蝶様、申し訳ありません…」
「不死川さん、勝手なことをしないでください」
立ち上がったしのぶちゃんが実弥に冷たい視線を送る。
けれど、それを無視して実弥は炭治郎くんを睨んだ。
「鬼が何だって?坊主ゥ。鬼殺隊として、人を守るために戦えるゥ?………そんなことはなァ」
スッと実弥が刀を抜く。
彼が何をしようとしているか、大体の想像がついた。
「ありえねぇんだよ馬鹿がァ!!」」
木箱に刀を刺した実弥。
赤い血がボタボタと滴り落ちる。
それを見た炭治郎くんが縄で拘束された状態にも関わらず、物凄い速さで飛び出していった。
「俺の妹を傷付ける奴は、柱だろうが何だろうが許さない!!」
「ハハハハ!!そうかい。よかったなァ」
「実弥、挑発しないの!」
私が声をあげるとすぐあとに義勇が叫ぶ。
「やめろ!もうすぐお館様がいらっしゃるぞ!!」
その言葉に、一瞬実弥の気が逸れた。
向かってくる炭治郎くんに刀を振っていたけれど、避けられてしまうと地面を蹴った炭治郎くんの頭突きが実弥に入り込む。
反動でドサッと二人は庭に倒れた。
それを見ていた蜜璃ちゃんが思わず吹き出してしまい、柱たちの視線を集める。
義勇の声に気を取られたとは言え、柱である実弥に一撃を入れた。
その姿を目の当たりにして、癸の隊士である炭治郎くんに、剣士としての可能性を見た気がした。
「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら、柱なんてやめてしまえ!!」
実弥に向かって叫ぶ炭治郎くんに「ふふふっ」と思わず笑ってしまう。
あの実弥にここまで言う子がいるだなんて、面白い。
「てめェ………」
実弥の好戦的な視線が彼を捉えたその時だった。
「お館様のお成りです」
そんな声と共に、屋敷の奥からお嬢様二人に導かれながらお館様は現れた。
「よく来たね。私の可愛い
78人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時