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17.早い目覚め ページ17

騒がしい声と頬を撫でる心地よい風。

ゆさゆさと体を揺すられる感覚と耳元に響く隠の声。


「──い。起きて────!お願いします。起きてください!」

「…ん、んん………っ?…もうそんな時間?まだ眠たいのだけれど………?」

「あっ!起きたっ!起きたぞ!!」

そんな声にまだまだ重い瞼を押し上げると、日の光が燦々と降り注ぐ庭が目に入った。


「………あら?まだ昼間じゃない…」

ぽつりと一言溢すと視界に数時間前に見たばかりの顔が現れる。

「琴音様ですね?」

「まぁ、後藤さん。今日は珍しくよく会いますね。ところで私を起こしたのは貴方ですか?」

「はっ、はい。蟲柱様から頼まれました」

「そう、…しのぶちゃんが………」

ペコッと頭を下げた彼の言葉に何となく私がここにいる理由を察する。


凭れ掛けさせるように寝かされていた木から背を離して立ち上がると、木陰から出る。


何度か訪れたことのあるこのお庭はいつ見ても美しい。

しかしながら、視界に映るのは拘束された一人の少年を取り囲むように立つ柱の面々。

取り囲まれている少年を見ればそれは案の定、炭治郎だった。

柱たちは皆、炭治郎の処分について話している。


炎柱や音柱に関しては斬首だ!と騒いでいた。


「もう、物騒ね。少しくらい話を聞いてあげてもいいと私は思いますよ?」

歩いて少年を取り囲む輪の中に向かえば、可愛らしい桜餅色の髪が揺れてこちらを見た。


「キャー!琴音さんっ!お久しぶりね!」

「蜜璃ちゃん、お久しぶり」

「む。その話し方は琴音で間違いないだろうか!」

「えぇそうよ、杏寿郎」

「やっと起きたか。お前は姉妹揃って派手に寝坊助だな」

「天元、別に私は寝坊助じゃないわ」

少し面倒な二人に言葉を返していると、頭上からこれまた面倒な人物の声がする。

「いや、琴音は寝坊助だ。一度眠ると中々起きない。しかも、お前がいつも任務途中で意識なぞ失うから、こちらは大迷惑している」

「あら、それはごめんなさい」

ビッと小芭内に指をさされた私は、口元を手で覆うとクスリと笑って見せる。


「可哀想に…琴音か。お前もAも元気か?」

「悲鳴嶼さん、お陰様で私たち姉妹は元気よ」


「琴音さん………暫く見なかった気がする」

声の方を振り向くとぼんやりした視線の無一郎くんが私を捉える。

「そんなことないわ。無一郎くんとは三週間前に任務で会ったでしょう」

「そうだっけ?」と首を傾げる彼。


「……忘れちゃったのね」

18.処罰→←16.思惑



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - おしゅらさん» ありがとうございます!ゆっくりとマイペースで更新頑張りますね(*^^*) (2021年10月13日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
おしゅら - ゆっくりで構いませんよ(*´ー`*)気長に待っていますので月見さんのペースで更新なさってください(^^) (2021年10月13日 18時) (レス) id: 2609acdfa8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年9月12日 12時

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