p e r f e c t _ 5 (ページ28)

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212 ( side Nishijima ) ページ28

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本番前のリハーサル、
頭の中で整理をしても、
身体が覚えてる恐怖というのは拭えなくて、

本番前にあった理央の変化も、
理央自身の強さと、スタッフやメンバーの支えもあって、

無事とは言えないが、本番が始まった。

『スタンバイまで15秒です。』

イヤモニに響く声、
失敗なんて許されない。

いや、失敗したことを感じさせてしまうことが
許されないのが、一発勝負のこの世界。

拭えない不安もあったけど、
１日目は、それを感じさせずに、幕を閉じた。

『お疲れ様でした！』

着替えはこっちです、とスタッフに案内されながら、
心と身体が切り離されたような感覚に陥る本番終わり。

頭の中では冷静なのに、
身体が追いついていかない事も多々あるし、

それは俺だけじゃなくて、メンバー全員がそうで、
スタッフもそれを感じ取ってる。

「西島くん、今日なんか違和感ありました？あったら先に教えておいて欲しいんですけど、」

西「うん？あぁ、特には、」

「…問題ないですかね？」

西「うん、大丈夫。明日もよろしく。」

「了解しました。お疲れ様です、」

宇「Aー！ごめんこっちの袖の中見てもらってもいいー？」

「はーい！今行く！」

日高と、理央のこともあって、
衣装班はかなり追い込まれていたのも知ってる。
それはわざわざ俺たちに知らされる事じゃなかったけど、

俺は昨日のAのこともあったから知ってるだけで。

宇野に呼ばれたAの姿をぼやっと見てると、
そのまま宇野のところに行くと思ったAが、
くるりと振り返ってこちらを向いた。

「…西島くん大丈夫？」

西「なにが？」

「いや、なんか変だったから。」

西「変って、別にいつもと変わらないけど、」

「それならいいけど、…なんかあったら言ってね。」

西「…うん。」

じゃあ実彩子のところに行くから、と
真新しいタオルと交換されて、
Aは宇野のところに踵を返した。

西「なんか変ってなんなの。」

不安が顔にでも出てたのか、
それとも、疲れ切った顔を見てなのか、

言葉にしなくても、感じ取ってくれたことに
驚きを隠せなかった。

疲れてるのも、不安があるのも、
Aだって例外じゃないのに。

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