p e r f e c t _ 5 (ページ14)

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シートベルトを締めたことを確認してから、
ちらっとバックミラーを見ると、
目が合って、特有の笑顔を返される。

結局西島くんは最低限の荷物だけ持って
エレベーター前に戻ったきた。

どうやってスタッフを説得させたのか、
いくことを他のメンバーには言っているんだろうか、

まだ浦田さんも、もちろん日高さんだって、理央さんだって戻ってきてはいない。

西島くんは、大丈夫。しか言わない。

こういう時の西島くんは頑固だ、
仕方ない、スタッフにも話してあるだろうし、
私は連れて行くしかない、

西「…、独り言言っていい？」

「え？」

西「聞いてるふり、してほしい。」

「…うん、いいよ。」

車を発進させて、
再びバックミラーを確認すれば、
窓の外を見ながらそんなことを呟く西島くん。

西「…すげー怖い、あの場、あの時、日高の場所が俺だったら、迷わずAに手を出せたかと思うと、そうじゃないかもしれない、Aだったからじゃない、メンバーが誰だって変わらないけど、
最悪なケースだってよぎったよ、もしかして、なんてことも考えた、」

西「真司郎もいたし、みんなの前では、ちゃんとしてたつもりだけど、本当はすげー怖かった。」

情け無いけど、と吐き捨てるようにこぼす言葉は、
少しだけ震えていた。

あの瞬間、西島くんだけじゃない、
きっと、誰もが最悪なケースを考えた、
だけど、その中で、
自分は落ち着かないと、と思っていた西島くんは強いと思う。

私が遭遇した、與くんだって、
その後の会った実彩子だって、千晃ちゃんだって、
みんな不安そうにしてた。

「西島くんの独り言、独り言のレベルじゃないんだよなぁ。」

西「うるせーな、聞かないふりしてって言ったろ。」

「はいはい、」

西「前もあったなそういえば、」

「ん？なにが？」

西「独り言、いつだっけ、…あぁ、Aが熱出した時だ。」

「あー…あ、そうだね。あの時も独り言～とか言ってたけど、全然違うし。」

西「気持ちを伝えるには、卑怯だったなって思うわ。…結局今回のことでも思ったけど俺、弱いんだよな多分。」

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