r a i n b o w _ (ページ25)

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21 ( side Uno. ) ページ25

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千晃が聞いただけだと、
Aが怪我したことしかわからなくて、
どんなに待っても戻ってかない中、
二曲目の歌に入った。

カバーしてるのは千晃、真司郎と秀太がフォローしてる。

みんな、ちゃんと、歌えてる。

二曲目が終わりそうな時、
インカムからステージ中央で、Aを待っててください。と指示が入った。

MCに入る。

浦「いやー、残りわずかとなりましたが、」

リーダーが話し始めると、
ファンの子から、Aはー！？と
大きな声で、叫ばれる。

けしていいことじゃないとわかってても、
きっといきなり出てこなくなったAを
不安になってると思う。

あの場で聞こえた音は、
きっとトラブルであって、
私たちにも聞こえてたのならば、
客席にも聞こえてたのだろう。

リーダーが困ったように笑みを浮かべてた、
誰も話さない。

いや、誰もわからない。

そんな時、中央の階段からAが出てきた。

その顔は、想像をはるかに超えて、
すぐに、ファンの子の不安を拭った。

「みんなごめーん！！心配させて。
…ちょっとトラブルになっちゃって、」

浦「…話すの？大丈夫？」

「うん！大丈夫。
それでー、えーと、トラブルで衣装を裂いてしまってですね、…軽く怪我もしたんだけど、ほんの擦り傷でね？」

宇「…、」

「で、さすがに裂けたまま出るにはいかない！と思って、慌ててスタッフさんに直してもらったの。
二曲も出れなくて本当にごめんなさい、千晃にも、フォローしてもらってしまった、本当にごめんなさい。」

頭を下げるA、
微かに震えてた、足と手。
千晃が、隣に立って、頭を撫でてた。

きっと、擦り傷なんかじゃない。
すぐにわかった。
けど、ファンを思ってのことなんだろう。

心が痛くなるほど、優しい子だった。

「この後からは、ちゃんと出るので
よろしくお願いします！
…しんみりしちゃった、本当にごめん。」

西「そりゃそうだろ、全く、心配させやがってー！」

ぐしゃぐしゃとにっしーがAの頭を撫でる。
そんなにっしーの顔も、
まだ不安そうで、みんなも不安そうだった。

ただそれをかくして、
Aの気持ちを汲み取って、
最後までやらせて。という、心の声が
聞こえるようだった。

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