ま ざ こ ん ご じ ょ ー。【五条悟】

第一話：独占欲を孕んだ悪魔 ページ1

．


俺、五条悟には大事な大事な母親がいる。父親とは違い、俺を心の底から愛してくれて守ってくれている愛しい人。おっとりしてて鈍いのに、正義感だけは一丁前にあった。

実の母親だけれど、俺の初恋の人でもある。使用人がいない時にみんなには内緒だよとお菓子をくれたり、色んな知識を身に付けただけで凄い凄いと誰よりも喜んでくれる。

俺はそんな優しい女神のような母に嫌われたくなくて、物心つく前から母の前でだけ猫を被る事を覚えた。



「おかあさま、今日は何して過ごすの？」

「そうだねぇ、何しようか。悟は何したいの？」

「おかあさまと一緒にいれるだけで嬉しいから特には…。」



ある日の午後。縁側で母さんの隣に座って話をするのはもう日課の様なもの。今日の話の内容は今日は何をするか。これを話す相手が親父なら俺はとっくに親父の話を聞かずに部屋から出て行っているだろうが、相手は母さんだ。

嫌われる事だけは避けたい。母さんからの問いに答えれば、母さんは照れた様に頬を赤らめて笑った。



(可愛いなぁ。)



母さんとなら何をしても楽しい、というより、母さんのコロコロ変わる表情が大好きだから特に何したいとかはない。ただ母さんの傍に居る事だけが俺にとっての幸せなのだ。



「なら、一緒にお菓子作りでも、」

「悟坊っちゃま、稽古の時間です。」



ああ、何してんのお前。母さんの言葉を遮ろうとするとか、何様のつもりなんだよ。そう思いながら会話に割って入ってきた使用人の髪の毛を掴んで殴りたい衝動に駆られるも、母さんがいる今はそんな事出来ない。


．

▽→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す