検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:36,023 hit

十六 ページ17

「こんにちは〜」

「只今戻りました」

白昼の探偵社。扉を開けると、空調設備から流れる冷やっとした空気が頬を掠める。顎を伝っていた生温い汗が、途端温度が下がり、体が冷え始め、こみ上げたくしゃみをひとつ、噛み潰した。

「A」

「与謝野せんせ、こんにちは」

「怪我、してないだろうねェ?」

「はは、真逆。今日は授業に体育があったわけじゃないですし、怪我する要素無いですよ」

「_________どうだか」

と、別の方向から声が聞こえた。
其の方向には、長椅子の背もたれから飛び出た太宰さんの鷲色の蓬髪が目に入った。顔をこちらに向けないまま―――
嫌味っぽく言ったのは分かった。

「太宰さん、」

「なんてね。冗談さ」

此方に顔を向けて、太宰さんはへらりと笑った。さっきまでの声色からは考えられないような、悪戯っぽい笑顔だった。

「冗談って、もう、」

「Aの『大丈夫』は大抵の場合大丈夫じゃないからねェ」

与謝野先生は肩を竦めて呆れた顔で言う。

「与謝野せんせ、」

「違いない。ばればれなのにね」

「乱歩さん…!」

探偵社の中でどっと笑いが起こる。腹の底からかあっとこみ上げる何かが頭の天辺まで到達し、顔が火照る。絶対今、私顔真っ赤だ。嗚呼もう、さっきまでの冷えは何処へ。私は足早に自分の席へと急いだ。

い つ か あっ た は な し?→←十五



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
設定タグ:ヤンデレ , 太宰治 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

蓮ノ花 - 江羅古九さん、感想ありがとうございます!^_^はい、絵は自分で描きました!女の子の描き方ーみたいな本読みまくって描いた成果が出てたら良いんですけど笑笑 (2019年5月4日 21時) (レス) id: d96b011022 (このIDを非表示/違反報告)
江羅古九 - 文章の感じもそうですけど、絵が凄く上手いですね!!ご自分で書かれているんですか!? (2019年5月4日 21時) (レス) id: 651ad92b57 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蓮ノ花 | 作成日時:2019年4月14日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。