【刀剣乱舞】私は陸奥守吉行の写し【山姥切国広】 (ページ10)

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眼帯、それは彼女のページ10

「来て早々んなことしちまったのかよ。こんなんじゃ、新撰組の刀は血気盛んだー、なんていわれちまうぞ。」

「五月蝿い......。」

内番の畑仕事を終えた和泉守は、縁側に座るAをおちょくる。反論するも、自覚はあるAの声には覇気はなかった。

「で、でもAさんの気持ち、少し分かります。僕も兄さん達を侮辱されたら黙ってられないと思います。」

本日共に内番だった五虎退が、Aを慰めるように声をかける。五虎退の子虎たちも、Aの手を舐めたり頭を擦り付けたりした。

「五虎退.......ありがとう。虎くん達も。」

Aは五虎退の頭を優しく撫でる。五虎退は嬉しそうに少し頬を赤らめ、子虎たちはおれもぼくもと言わんばかりに、その小さな足で強請った。

「わわっ.....！！だめですよ、虎くん！」

「ふふっ、大丈夫だよ。ほら、皆おいで。」

Aが子虎たちを撫で始めた途端、その一匹がAの手をすり抜けて背中に飛びついた。何事かと思った直後、Aは視界が開けるのを感じた。

「眼帯が.......」

「こ、こら！虎くん！」

Aの眼帯を口に咥えた子虎は、そのまま縁側を道として走っていった。

「待って....！」

Aは急いで立ち上がって子虎を追う。慣れぬ人の身体では上手く走れず、思った程の速度は出なかった。しかし、Aにはどうしても眼帯を取り戻さなければならない訳がある。Aは可能な限り足を早めた。

「.....あれ？どこ.....？」

角を曲がった先。そこは道が複数あり、子虎を見失ったAは何れに進むべきか分からなかった。

「どうしよう.....。」

「＿＿A？」

右手から掛けられた声に反応して、Aはそちらを向く。そこには、腕に子虎を抱えた山姥切が立っていた。

「やまんば、ぎり.....」

Aはハッとして両目を手で覆う。心配した山姥切はAの肩を掴んで声をかけた。