私の魔法は知っている (ページ28)

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彩の正体と翔の正体ページ28

砂原「彩と俺は生まれ変わりなんだ。」

え……？

私と翔が生まれ変わり？

いったい何の生まれ変わりなの？

砂原「長い話になる。

昔、あるところに、天使と悪魔がいた。

天使と悪魔は、犬猿の仲で、戦争ばかり。

そこで、これ以上争わないように、天使を監視する女神と、悪魔を管理する魔王が現れた。」

なるほど……。

平和のために、管理する者が現れたんだね。

砂原「女神と魔王は、強い魔力で戦争を止めた。

そのおかげで、戦争は終わったが、天使と悪魔の仲はよくならない。

そして、何年か過ぎた頃、女神と魔王がお互いに恋に落ちてしまった。

2人は本来、結ばれてはいけない。

だって、女神と魔王は、真逆の生き物だから。

だが、恋の気持ちに抑えられず、2人は結婚し、子供ができた。

2人の子供の名前は、彩。

彩のことだ。」

え？！

わ、私？！

えっと、つまり、まとめると、私は女神と魔王の子供の生まれ変わりってこと？

情報が色々あり過ぎて、私の頭は混乱状態！

翔は、話を続けた。

砂原「天使と悪魔は、2人の結婚を認めなかったため、彩は誰とも仲良くなれなかった。

挙げ句の果てには、裏切り者、と呼ばれるようになった。」

心が重くなる。

裏切り者か……。

砂原「女神と魔王は、つまり、彩の親は、どうにかして、彩を受け入れてもらおうとした。

でも、不可能だった。

彩の母親は、次第に元気が無くなり、この世から去った。

彩の父親も、それを追うように、亡くなった。」

え……。

私、昔でもひとりぼっちになったの……？

泣きそうになる。

砂原「でも、ひとりぼっちだった彩に、近づいた者がいた。

それは、砂原翔。

つまり、昔の俺だ。

俺は、彩に近づき、話しかけてみた。

俺も彩と同じでひとりぼっちだったから。

その気持ちを埋めたかったから。

話してみると、彩はとても優しく、心広い女の子だった。

それから、俺と彩は毎日のように会い、その時からだろうか。

俺は彩に恋してた。」

翔は微笑む。

その爽やかな顔にドキッとする。

でも、次の瞬間、翔は真剣な顔になった。

誰もが恐れるほど。

砂原「でも、幸せは決して続かなかった。」