煌めく君に恋をした

存在価値 ページ9

絵心side
正直驚いた。

本当に18なのか此奴。

『何が面白くて笑っているのかは分かりませんが俺はそんな人生認めない。そんな人生に存在価値なんてありはしない』

何処か悲しそうに言う彼の目を見る。

ほんの少しだけ涙が溜まっている。

沢山の資料を見た。

沢山の試合データを見た。

そして気がついた。

此奴は本当のサッカーをしていないと。

自分の中にある欲(エゴ)を発揮していない。

心から笑わない奴と同じで此奴は心からのサッカーをしていない。

自分の感情の全てに鍵をかけている。

正直いって気持ち悪いくらい出来上がっていると言っても過言では無い。

普通の生活を送っている様な奴には絶対に出来ない様な感情操作を平然と行っている。

絵心「気持ち悪いね、君」

『感情操作の事ですか？よく言われます』

絵心「何処で習ったの？そんな技術」

貧困街で育ったわけでもあるまいし。

まるでーーみたいじゃないか。

『人の顔色見てればだいたい出来るようになりますよ。特に顔色変えない人と一緒に居ると』

絵心「なんで？」

『簡単な話ですよ。顔に出ない人程心の中は焦ってたりするんです。手の動き、1回の瞬きの時間、目が動く回数、呼吸の速さ……けど1番分かりやすいのはやっぱり口ですね。目は口ほどに物を言うって言うじゃないですか』

またその笑顔を浮かべる。

『俺の中ではこの笑顔もこの声も相手に威圧感を与えさせない為に生み出した物です。“絶対の皇帝”なんて呼ばれてるでしょ？だから少しでもみんなの気を楽にしたくて』

力無く笑う彼の笑顔に何故だか胸が痛くなった。

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