泣き顔マニア

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「飯、どこがいい？」


「え、ていうかなに？
どういうこと？」


「とりあえず飯行くぞ、腹減った」








様子のおかしい先輩に裕太と二人目を見合せた。

出来ることならそうしてほしい、って
自分の彼女を他の男に奪って欲しいってこと？

冗談とも思えないテンションだっただけに
リアクションに困る私たちをよそに
エレベーターは一階へと到着した。









━━━━━いま思えば、
この日を境にして、私たち四人は複雑な関係になっていったんだ思う。








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「か〜っ、んっま」


「おいしいですけど
先輩とご飯くるとかなりの確率で居酒屋ですよね」


「でも居酒屋が一番だろ？
なんでもあるし、うまいし安いし」


「確かに、私も焼き鳥食べたかったしいいんですけど」


「ほらな、そうだろ〜？」








ドヤ顔でビールを煽る先輩をよそに
ぶすっと少し距離を取りながら烏龍茶片手に睨みをきかせてるのは裕太。








「裕太、ほらシーザーサラダ食べようよ」


「遥先輩と何があったか気になるから食べたくない」


「食ったら話すから、とりあえず食えよ」








私も遥先輩とのことは気になるとこだけど
とりあえず裕太の機嫌をどうにかしないと、と
北山先輩と二人がかりで説得。

すると意外にも簡単に私の隣に詰め寄ってきてくれて
箸に手をつけ、シーザーサラダをパクッとした。








「玉、あとなに食いたい？
奢るからじゃんじゃん食え」


「チャーハン」


「ここチャーハンねぇよ」







無茶言うな、って笑う先輩に
裕太も次々とテーブルの上のものに手をつけていく。








「あ〜！ちょっと裕太！
それ私のだし巻き玉子なんだけど！」


「だって残ってたじゃん」


「残ってた、じゃなくて
残してたのー！」


「食うか食われるかの世界だからね、ここは」


「どんな世界よ、もう〜」








そんな幼稚な私たちのやり取りに
もう一個頼めばいいだろ、って太っ腹にだし巻き玉子をまた頼んでくれる先輩は
なんだか私たちの保護者みたい。

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