キラハグ ２

８２ 北山side ページ33

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「え？！Aちゃんが辞める？！」


「多分……。
まぁまだ分かんねぇけど」







咲彩と話し合いを終えて仕事場に行くと
芦田さんとあだっちーがいたから、一応Aのことを報告。

詳しいことは話さなかったけど
ヒカリは今咲彩に見てもらってる、と言うと
二人とも何かを察したらしかった。








「先生は本当にそれでいいの？」


「いいも何もAが出てったんだし
俺はどうしようも出来ねぇじゃん」


「なっさけない男だね〜」


「……色々とあったんだよ、」








一緒に過ごしてるうちに
Aも少なからず俺の事を好いてくれてると思ってた。

Aとヒカリと三人での未来も悪くないなって
そんな想像をしてしまうほど。




でも実際に出ていかれてしまうと
自分は何も出来ないんだって痛感させられた。

ヒカリのことまで背負わせてしまう責任感。

咲彩と戻った方がいい、と言うAの言葉が
胸を抉るように突き刺さる。









「仕事のことは何とかするにしても…、
ヒカリちゃんのことは咲彩さんが見てくれるの？」


「あぁ、そう言ってくれてる」


「……そう。
じゃあ元サヤに戻るのね」


「………………、」







正直そこまでの結論は
まださっきの話し合いでは出してなかった。

けど、俺も仕事を放り出すことも出来ないし
ヒカリの面倒は誰かが見なくちゃいけなくて
そうなると必然的に咲彩が戻ってくることになるから。









「私も余計な口出しは出来ないけど
元に戻るのが幸せとか正解なわけではないと思う。
でもやっぱり世間的に、普通に考えたら
二人さえまた戻れるなら、またやり直すのもいいと思うしね」


「……うん、」


「でもAちゃんの気持ちも
色んな人の気持ちを汲んであげて結果を出さないと」








先生にかかってるんだから、ってプレッシャーを最後にかけられて怯むけど
確かにそうだよなぁって。

簡単なことじゃない
すぐには決められないことだけに
一気に目の前が真っ暗になった気分だった。







まるで昨日までの幸せが幻だったみたいだ。

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