恋愛注意報

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オシャレなBGMを背に
お店を出てきてしまった。

テーブルに僅かながらのお金と
急用を思い出したので帰ります。ごめんなさい。
とたまたま持ってた手帳を破った紙のメモを添えて。








「……危ない、わたし……。」








うっかり既婚者に落ちてしまいそうだった。

勝手にドキドキして、高校時代を思い出して
青い春という青春を、また味わおうとしてた。



人様の者なのに・・。









「こわっ！！」








ぶるっ、と身震いをして急いで足を進めた。

なにしてんだ、自分。

誕生日に既婚者とデートみたいなことして
胸をときめかせて、フラフラと今ひとりで街を歩いてる。




ていうかさ、
先輩も結婚してるなら最初に言ってくれよぉ！

やっぱりニューヨークにいたから
そういうのがフランクな感じになってるんだろうか。

でも先輩は、誠実でそんなことするような人じゃないはずなんだけど…。









「……分かんない。」








ほんと経験が乏しいだけに全然分かんない。









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「唐揚げくんと、焼き鳥二本くださいっ」








なんだかむしゃくしゃして帰り道に寄ったコンビニ。

缶ビールを五本と、おつまみを買って
近くの公園へと足を運んだ。









「ぷはーっ、やっぱビールだわ」








暗い公園にひとり、ブランコに腰掛けながら
缶ビールを一気に飲み込んだ。

さっきまで飲んでた甘い味を消し去るように。









「もうー……、ほんと自分が情けない…、
なにしてるのあたし……、このまま一生ひとりなんじゃ……、」









グズグズとヤケ酒みたいにお酒を煽ってると
ほんとに虚しくなってきちゃって。

今この瞬間、私が一番この世で不幸なんじゃって
有り得ない大袈裟なことまで思えてきちゃって。









「ああああ……、なんかもうこの際誰でもい、

「Aちゃん？」









自分の泣き言と、
ブランコの音の隙間から聞こえた声。



振り向いてみると
暗いからよく分からなかったけど、段々と近付いてくる姿。








ちっちゃくて、ちゃらーい見た目な……、









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「……きたやまくん？」









何してんすか？！
って、怪訝な顔を見せる彼がそこにいた。

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