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走り去ろうと本気で少し考え始めたとき
またバタバタと戻ってきた藤ヶ谷さんに
一気に背筋がピンと伸びる。
「これっ、暖かい飲み物とホッカイロ」
「ホッカイロ?」
「お腹とかに貼ればいいんじゃないかと思って」
少し息切れした藤ヶ谷さんが
はい、って暖かい紙コップと可愛らしい小さめのホッカイロを差し出された。
こんな真夏にホッカイロなんて、どこから探しだしてきたんだろうと
ホッカイロなんて貼らなくても、その気持ちだけで心が暖かくなる。
「ありがとうございます…」
「本当は安静に出来ればいいんだろうけど、Aちゃんのことだから途中で仕事投げ出して早退するとかしなそうだからさ」
隣に座り込んで、ペリペリとホッカイロを袋から開けてくれる。
「貼ってあげようか?」
「ややっ、大丈夫ですっ!//」
「遠慮しなくても、貼ってあげるのに」
「こんなお腹触らせられませんっ!」
「はは、どんなお腹なのか逆に気になるわ」
「もう、ものすごいですよ…」
「どれどれ?」
「わわっ!ちょっ!//」
ペタンと、服越しにホッカイロを貼る仕草をしてふわりとおへそ辺りに触れた温かい藤ヶ谷さんのてのひら。
「やわらかい」
「えっ、ひどい!」
「いいじゃん、可愛くて」
「かわいい…っ?」
全然細いじゃん、って貼るフリをしてたホッカイロをまた手渡される。
「無理だけはしないでね?
本当に無理になったら、俺に言ってくれれば適当にAちゃんに仕事頼むからこっそり休んでればいいよ」
ポンポン、って二回頭を撫でてくれて
少し照れたように笑うその仕草に
胸の奥がキューンて疼く。
「本当にありがとうございますっ!」
「いーえ、いつでも頼ってね?
Aちゃん頑張りすぎだから」
こくんと頷く私にまた笑顔を見せて、リハーサルへと戻っていった。
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はちみつ(プロフ) - 梓さん» お話読んでくださってありがとうございます。ご指摘されましたところ、全て訂正いたしました^^* (2018年10月8日 8時) (レス) id: 110603a9b6 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません...。 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした(>_<) (2018年10月8日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - またまた続けてのコメントですみません。 物語読んでいて思ったのですが...。 34のここの台詞 「反則やん、あれは…っ」 主人公ちゃんって関西出身の設定なんですか? (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - また続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 24のここの台詞 だって阿部ちゃんは、他に仲良さそうに人もいないし 地方まで来て、一人でご飯食べるなんて寂しいじゃん? これ正しくは他に仲よさそうな人もではないんでしょうか? (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
梓 - 続けてのコメントですみません(>_<) これ棚じゃなくて椅子とか段差ではないんでしょうか? 低い棚ってなんですか? 聞いたことないのですが...。 (2018年10月6日 0時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつみゆ | 作成日時:2017年7月28日 22時