９ ページ9
.
「あっ………、」
あれ？わ、私の事……？とキョロキョロしてると
一歩ずつ近付いてきて、ガシッと腕を取られる。
蘇るあの日の感覚。
「あらら、派手にやらかしたね」
「ごめんなさいっ、あの弁償っ、」
「いいよ。そのくらい俺がなんとかしとくから」
そう言ってスタッフさんらしき人に何かを言い、私の腕を引いて、ドアへと向かう彼。
周りにいた女の子達は皆ポカーンとしていて
状況を理解できていないみたいだった。
私はというと、周りの人達に向けて何度も頭を下げながらライブハウスをあとにする。
「あの、どこ行くんですかっ？」
ライブハウスを出ると少し肌寒かった。
きっとあの場が熱気と興奮で熱かったからかもしれない。
「なんで連絡くんなかったの？」
私の質問に答えず、質問返し。
腕を引いてた彼が私を振り返って
少しいじけてるように唇をとがらせている。
「社交辞令かなって思って……」
「社交辞令で番号なんて普通教えないっしょ？」
「でも、まじで連絡してきたし、とかウザがられるの嫌だったから……」
ここまで言って、しまったと思った。
どんだけマイナス思考なんだろう私って。
「んー、あのね、一応俺も気になってたわけよ。
初めての子が相手だったし、あれから大丈夫だったかな〜とか」
え、そんな心配をしてたの？
でもその割には結構色んなことや、
かなり激しくされたりしたような気もするんですけど……
「身体は大丈夫？」
彼の癖なのかな。
目を逸らす私に、目線を合わせようと伺うように首をこてんと傾けるの。
それがなんとも小動物みたいで可愛いくて。
「さすがにもう…、大丈夫です。」
「はは、じゃあ次の日とかはやばかった？」
「やばかったです、腰とか」
「だよね〜後半俺がほぼ支えてたもんね」
俺がほぼ支えてた、って言葉に
生々しい記憶がまた脳内に甦って、カーッと顔が熱くなる。
それを悟られないように慌てて下を向いたのに
手のひらが頬に触れる。
「その服、乾かした方がいいね」
さっきぶつかってしまった時にお酒で濡れた服。
その際どいところを撫でられて
反応してしまった私に薄く微笑む彼。
ほら、また捕まってしまう。
どうしようもなく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1303人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くまのこ(プロフ) - だいぶ出遅れました…はちみつさんとはちみつさんの書くお話が大好きです！終わらせずに受け継いでくださったことを感謝致します！他のお話楽しみにしてます〜！はちみつさん好き！！！！ (2020年1月15日 11時) (
レス) id: 9fffa79d91 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - はちみつさん！！全然気にならさらないでくださいーーー！！はちみつさんが書かれるお話は何でも大好きなので！！！←声を大にして笑！わざわざメッセージありがとうございます！！これからもコメントいっぱいさせていただきますっ！笑←迷惑な奴（笑） (2019年12月28日 18時) (レス) id: 773bebed2a (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お疲れ様です。こちらは楽しく読ませてもらってるので書かれるのは大変だと思います。 (2019年12月28日 17時) (レス) id: 3a1ba1b625 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - なんと!!!消してしまうんですか！？えーん…このお話も、好きなのに残念です(Ｔ▽Ｔ) (2019年12月28日 16時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - あら残念(^_^;)途中きっとこの北山さんは主を好きになるのかなと期待をしていたのですが(^_^;)作者様の意向ですから仕方のないことです(^_^)キラハグ、恋愛注意報は楽しみにしています！今年も沢山楽しませてもらいました(^^)良いお年を！ (2019年12月28日 12時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はちみつみゆ. ましろ
| 作成日時：2019年10月2日 19時
