嘘つきなキス２ (ページ7)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:86,044 hit

７ページ7

.

ハロウィンの日にひろと出逢い、
もう会わないって言われた昨日は、

皮肉にもクリスマスイブの前日。

ひろとは恋人同士じゃなかったし
クリスマスだからって関係ない、

はずだったんだけど

もしかしたら会えるかも、
なんて期待して、プレゼントを用意してた自分はなんて滑稽だったんだろう。

.

少し残業して帰ろう。

寝不足で頭が痛かったけれど、早く家に帰ってもネガティブなことばかり考えそうだったし
ひろとのことを思い出して悲しくなって泣いてしまうのも嫌だったから
定時に上がっていく社員たちを横目にパソコン作業を黙々と進める。

本当はあいりさんのことがまだ好きなのかなとか、
簡単に男について行く軽い女みたいな出逢い方じゃなかったら本気になってくれたのかなとか、
○フレにしてはひろへの想いが重すぎるから嫌になっちゃったのかなとか、

ひろのことを忘れようと思っても
どうしても後悔で心がぐるぐると苦しくなってしまうから。

幸い、年末年始の休みの為、前倒しの仕事がたくさんあるから、それに集中しよう。
そうすれば、その間は余計なことを考えずに済むから。

そんな風に私のクリスマスイブとクリスマスの夜は過ぎていった。

.

.

仕事納めの今日、

「A、最近元気ないよね、
なんかあったの？」

たまたま昼休みが一緒になった美月ちゃんと
エレベーターでばったり会い、
私たちは会社の近くの喫茶店で一緒にランチを食べることにした。

「いや、なにもないよ………」

「ほんと？前より痩せた気もするよ、
ちゃんと食べてる？」

「食べてる食べてる。
ちょっと風邪引いてたからかな」

「ならいいけど。ちょっと前まですっごく楽しそうだし、なんだか綺麗になったなぁって思ってたの。
A、男出来たんでしょ？」

「え……あ、やだ違う違う、誤解だってば」

さ、さすが美月ちゃん
経験豊富なだけあって鋭い洞察力。

でもさすがに美月ちゃんにもひろとのことは話せなかった。

元々ワンナイトの相手に本気で恋してしたなんて言っても
こういう結果になるのは分かってたでしょって言われるような気がしたし。

「ふーん」

て、美月ちゃんは納得してなさそうだったけど
そこで昼休みの時間は終わってしまった。