嘘つきなキス２ (ページ6)

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どんなに傷ついて
絶望しても

このまま涙枯れるまでずっと泣いて消えてしまいたいと思っても

たとえ真っ暗な世界のままでも

朝は来るし、仕事はしなきゃいけない。

大人だからこんなことで欠勤するわけにはいかないし
今日は特にクライアントとの打ち合わせがあるから、責任感のないことはできない。

「ひっどい顔…………」

ほぼ眠れずに一晩中泣いていた目は真っ赤で
瞼は腫れぼったくて、はっきり言って別人。

さすがにまずいと何とか少しだけ化粧で誤魔化して
朝ごはんも食べずに家を出た。

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『こんないい加減な生活やめようって思えたのはAのおかげだから』

『これからインディーズデビューに向けて色々と忙しくなるから、正直Aとの時間が取れないってのもあって』

『身勝手なお願いかもしんねーけど、"KISS"のことはずっと応援してて欲しい』

電車の中で、昨夜のひろの言葉がちょっとずつ脳裏に蘇ってくる。

ライブに行って、いいの？

───勿論。ホームページで確認して。今後はもっと大きなライブハウスでやる予定だから。

そっか……おめでとう、おめでとうひろ。ずっと
応援するね。

ちゃんと最後まで笑顔で別れることができたみたいで、ほっとした。

良かった………迷惑はかけて、ないよね。

ライブにも来るなと言われなかっただけ、
ひろの活躍を陰ながら応援することだけは
まだ許されてるってことで。

それだけでも充分だと思わなくちゃいけない。

また今まで通りの平凡で、平穏な毎日に戻るだけ。

その生活が自分には一番似合ってる。

ワンナイトなんて大それたこと
これから先は二度としないし

もう絶対にコスプレしてハロウィンイベントとか、その他の浮かれたイベントにも参加しないって誓うから

だから、神様お願い。

早く私からひろとの思い出を消して下さい。

あれは全部、全部
泡沫の夢だったんだから。

早く笑ってひろの夢を心から応援できるように────。