七話 ページ7
最近ネコさんをキャンパスから出してから、頻繁に彼と話すようになった。今日も絵を描きつつお話をしようと思い美術室に足を向ける私。
鍵を使用してドアを開き、静かな室内へと入る。いつからか私以外の美術部員は完全にいなくなっていた。顧問も一応はいるが、全く干渉してこない。
それもそのはず、この美術室は近々別の部に乗っ取られるのだから。
「(まあそれは一年後の話)」
定位置につき、ネコさんが描かれたキャンパスを探す……。
「あれ?確かここに置いといたはずなんだけど」
無作為に置いた絵画たちを見ていくが、青色のクレヨンで塗られたネコさんの姿が一向に見当たらない。
いよいよ焦りが顔に滲んできた。
周りを見渡すと黒い布がかけられたキャンパスを発見。直ぐ様布を取り払うと表れた彼に言葉を失った。
「いたずらされてる……」
急いでネコさんに触れても何も反応がない。
そうか、形がはっきりしていないから。
……表しようがないんだ。
黒く塗りつぶされた彼を見て、しばらく茫然自失の状態だった。
もう一度彼に触れると、水っぽい感触。
「(いたずらされてあまり時間が経ってない)」
そう判断した私はバケツいっぱいに水を汲み、新品の筆を取ってネコさんのケアを始めた。
誤って彼を削り取らないように、細心の注意を払いながら。
*
乾拭き雑巾を床に放ってやっと表れたネコさんに涙する。確かめるように彼を腕に抱くと、黒ずんだ身体を捻り一声鳴いた。
「チッ、僕を何だと思って……身体も汚れちまったしよ!
……泣くなよ、A」
「……っ、うんっ……でも、悔しくてっ」
止めどなく流れる雫。ネコさんを抱きかかえるようにして地べたに座り込んだ。
ぺろっ
頬にざらざらとした感触がした。慰めか、幾度も舌で涙を舐め取る、この心優しい友を護れなかった自責の念に苛まれる。
数分は彼と共に体を丸めていたか。
突然威嚇を始めるネコさん。不審に思い立ち上がると、同時に見たこともない人達が数人入ってきた。
「まあまあ広いんじゃねえの!」
「ペンキくっせえ!」
「……換気すればいいだろ」
ぺちゃくちゃと喋りながら適当に画材を端にやるこの人たち。……どうしよう。
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爆豪緑茶@僕アカ(プロフ) - 鍵話さん» コメントありがとうございます!まだまだ改善点が見受けられますが、褒めてくれて嬉しいです(*^^*)そうなんですか!?今度遊びに行かせてください|ω・`)わかります、結構思い切りがあるキャラが多いので爽やかな感じがして楽しいです(^^♪ありがとうございました! (2015年3月14日 10時) (レス) id: a57d88f4d5 (このIDを非表示/違反報告)
鍵話(プロフ) - 中編でこのストーリー…すごいですね! ヒロアカ、いいですよね。私も書き始めたんですが、読んでても書いてても爽快感があふれる作品ですよね。 (2015年2月8日 18時) (レス) id: 76aa89a760 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - いえいえ♪なんか恥ずかしいね(^v^) (2014年12月28日 18時) (レス) id: 51504552ac (このIDを非表示/違反報告)
爆豪緑茶@僕アカ(プロフ) - 時雨さん» ほんとう!?良かった!私も時雨ちゃん好きだよ、いつもありがとう('∀`) (2014年12月28日 11時) (レス) id: a57d88f4d5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 二日でもすっごく面白いよ!!私爆ちゃんの書いた夢主ちゃん大好きなんだ!!あ、爆ちゃんもダヨ☆(( (2014年12月28日 10時) (レス) id: 51504552ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爆豪緑茶@僕アカ | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/mylist
作成日時:2014年12月27日 20時