無気力組なんでしょ？【無気力組】 (ページ12)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:213,906 hit

episode.11「ファーストキス」ページ12

迷いそうな道を歩き、

螺旋階段を降りてキッチンへと向かう。

「あれ、明かりがついてる。
誰かいるのかな」

中を覗くとプリンヘッドが見えた。

「プリン！…じゃなくて、研磨か。」

「A、まだ起きてたの。」

「起きてたっていうか、起こされたっていうか。」

「ふーん。で、何しに来たの？
俺に会いに来た？」

研磨までついにおかしくなってしまったか。

なんだかみんなおかしい。

無気力な四人が、何故かしら変化してる。

学校では無気力なくせに。

「ただたんに喉が渇いただけ。」

戸棚から高級そうなコップを取り出し、

水を入れていく。

そのコップをつかもうとするが、空をからぶる。

「あれ？」

何故か背中がゾクッとする。

後ろを振り返ると、唇に温かいモノがあたり、
口の中に液体が入ってくる。

「んんっ？！」

離したときに、ゴクッと飲み込む。

何が起こったのか頭が追いつかず、

再び唇に温かいモノが触れた。

それは少しずつ深くなっていく。

突然のことで頭が追いつかない私は、

目をぐるぐるさせていた。

口の中に生温かいモノが入ってくるたび、

脳を刺激する。

ようやくこの状況を理解したときには、

既に息が上がっていた。

「んん！」

それに気がついたのか、

研磨は私から唇を離す。

「はっ、はあ…。」

「こうして欲しかったんじゃないの？」

「ち、違うわ･･バカッ」

息を荒くしている私を見て、

研磨はこう問うた。

「もしかして、ファーストキス?」

図星すぎて、体の動きがピクリと止まってしまう。

「…違うけど。」

そう否定して、研磨に背中を向けると、

ギュッと抱きつかれる。

「わっ。」

「A、可愛い。」

ワザと耳元で囁いてくる。

これ以上コイツと一緒にいると危険だ、

と頭の中で警報が鳴り響いているので、

私は肘で研磨をみぞうちして自分の部屋に猛ダッシュした。