chapter3-2 家出少女と殺人鬼少年 ページ14
走って、走って、跳んで。
少しの段差や水溜まりもご愛嬌。
自分の障害になる物を全て払って辿り着いた先は、薄暗い学校だった。
｢…松木……｣
もうとっくに電気の消えている廊下を駆け抜ける。
ふと前を見ると、見慣れた背中。
緑のTシャツに、パイナップルの短パン。
相変わらず訳の分からないファッションセンスをしている。
｢松木先生｣
その声に、目の前の人物が振り向く。
｢朱羽……忘れ物か？早く取って帰れよ｣
いつもなら舌打ちを返しているような言葉。
でも、今日は違う。
だってもう松木には会うことが無いのだから。
……永遠に。
｢赤羽？……っ！？｣
松木の目の前を果物ナイフが掠める。
流石は体育教師と言ったところか。
間一髪で避けられてしまった。
｢お前、何してるんだ！？｣
やはり体育教師相手に素人が立ち向かったところで適うことは無いのだろう。
1発で仕留められなかった今、勝機はほぼ無い。
……でも。
もう、決めたから。
次に踏み出した1歩は、その階に響き渡る程重かった。
重く、強く。
血走った眼は確実に標的を捉えていた。
刃先が皮膚を切り開いていく。
こんなにも簡単な事だったのかと錯覚する程に
軽い滑りで。
何か松木が言っている様だが気にしない。
もし誰かが来たら、また切り開けば良い。
今は、今だけはこの作品を完成させたい。
本能がそう叫ぶ。
何も考えなくても手が勝手に動いて赤い線を奏でていく。
そろそろ頃合いだ。
辺りに立ち込める鉄の匂いと、沢山の足音。
窓から自転車置き場の屋根に飛び移り、
そのまま地面に着地する。
足に少し衝撃が走るが、そんなことは言っていられない。
｢……山の方なら人は集まらないか｣
口の中で呟き、足を進める。
こんな状況にも関わらず、心は晴れ晴れとしていた。
抑えていたものが解放されるような、そんな感覚。
初めての感覚に思考を傾け、ひたすらに走った。
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無神氷狐龍(プロフ) - 黄桃さん» ありがとうございます！いえいえ…！黄桃さんのじゅじゅエッグの続き、凄く気になります(*´ω`*)黄桃さんも頑張ってくださいね！ (2021年1月15日 16時) (
レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
黄桃(プロフ) - こういう物語好きです！神作作る作者さんは神か！？私の小説と比べると・・・・（。；_；。）応援してます (2021年1月15日 1時) (レス) id: 2f74b3d2f0 (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - megumiさん» こちらこそコメント&読んでいただいてありがとうございます…！これからも少しづつ時間の許す限り更新していこうと思います。よろしくお願いします( *°ω°* ) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
無神氷狐龍(プロフ) - テノヒラさん» なんと…！私自身も好きな子なのでそう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます(´ω`) (2021年1月9日 21時) (レス) id: 8c5ca7a3be (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 更新ありがとうございます！ いつもハラハラドキドキしながら、「次はどうなるのだろう？」と、拝読させて頂いてます。これからも、応援しています！ (2021年1月9日 20時) (レス) id: 1a15500b7d (このIDを非表示/違反報告)
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