*伊之助は眠れない ページ29
辺りはすっかり暗くなり、月が丸いニキビ面を晒していた。
今日は伊之助くんとの共同任務があり、こうして藤の花の家紋の家で休んでいるわけだけど。
…部屋、一緒でさ。顔が良すぎて眠れないんだよね。
あとすごいいびきうるさいし、本当に寝てんのかってくらいキツい蹴りが飛んでくる。
なのでこうして縁側で涼んでいるという。あれ〜この状況覚えがあるぞ〜??
冨岡さんに抱きしめられた時の感触忘れてねえからな末代まで語り継ぐぞ。
「A郎!!!寝れねえ!!!」
「誰だよA郎!!!!」
襖をスパーンと勢いよく開けて叫んでくる伊之助くん。
否が応でも私の名前を覚えたくないみたいだな!!!!
つーかあんだけ私を蹴り飛ばしといてよく寝れないとか言えるな!!
「よ〜し眠れないならお姉さんが寝かしつけてあげよう!!こっちおいで!!」
「ア?なんでだよ」
「うるせえ黙って来い」
半ば脅し気味に言えばしぶしぶこっちに来る伊之助くん。
そうそうそれでいいんだよ〜〜!!従順でえらいね〜!!!^^
「ほら!お姉さんのお膝貸したげる!!」
「…??どうすりゃいいんだ!?」
「えっとね〜、私の太ももあたり枕にする感じで〜…あ〜んやっぱり顔がいい!!!」
私の言う通りに無事寝転がった伊之助くん。ああ可愛いすごく可愛い。
思わずよしよししそうになったのをグッとこらえた私偉い。
「どう!?どんな感じ!?」
「乳が喋ってるみてえ」
「ウーン喜ぶべきなのか咎めるべきなのか」
まあいっか!!私は許そう!!
改めて伊之助くんの頭をなでなでしてみる。はあ〜〜髪質心地良すぎ今日命日か?
こっちが眠くなってきそうなくらいなんだが。
「そうだなあ、お噺でもきかせようか?この前の任務ですっごい評判いいのがあってね!!」
そう言い終わらないうちに、ぐう、といびきが聞こえてきた。
寝るの早くない?反応ひとつひとつ噛み締めときゃよかった…
「……ほんとに綺麗な顔。こうしてると妹みたいだなあ」
ふわふわの髪の毛に指を絡めて、梳くように撫でる。
でもやっぱり体以外はきちんと男の子だから、妹ってのは違うのかな。
私に妹がいたなら、今頃ここにはいられなかったのかな。
…やべ、めちゃくちゃ眠くなってきた。伊之助くん布団まで運べるか?
試しに頭を下ろして抱えてみるとずっしりと重かったが、運べないほどじゃなかった。
「おやすみなさい、伊之助くん。貴女は素敵な夢が見られるといいね。」
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ころころ - ゆるふわですやん! 知ってるんですか! (2019年10月4日 20時) (レス) id: 327fdb2cac (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - こんのなんでも屋さん» コメントありがとうございます〜ッッ!!!わりと皆さんに気付いてもらえて内心同志を見つけられたようで嬉しいです!! (2019年10月3日 17時) (レス) id: 647675a819 (このIDを非表示/違反報告)
こんのなんでも屋 - あーっあーっしぬかとおもった!しぬかとおもった!ってどっかで聞いた事あると思ったらぴーまるちゃんとこのうさぎさんw (2019年10月2日 19時) (レス) id: 8cb1996207 (このIDを非表示/違反報告)
ネロ - ゆきさん» わーコメントありがとうございます!!!続きます!!続編行きます!!体調管理にも気を配りつつ頑張っていきますー!! (2019年10月2日 7時) (レス) id: 647675a819 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 一瞬最終回かと思ってめっちゃびっくりしたけど、続くの文字を見てとりあえず一安心。この作品は今まで見てきた中で一番好きです。これからも投稿楽しみに待ってます。無理をせず頑張ってください。 (2019年10月1日 21時) (レス) id: fbbd62be54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネロ | 作成日時:2019年9月8日 15時