第28話 優しい人 ページ32
*
貴「あの人本当は優しいんですよ」
俺に頭を下げた女性。
とても優しくて、清らかな匂いがした。
ここにいるということは柱なのだろう。
さっきから俺と禰豆子を庇うような発言ばかりしてくれているが何故だろう。…ただ優しいだけでは無いような気がした。
伊「柱が易々と頭を下げるな
他の隊員に示しがつかなくなる
少しは考えて行動したらどうだ」
貴「柱だからといって彼の大切な人を傷つける権利はありません
悪いことをしたら謝るのが当然でしょう」
伊「だが鬼だ」
貴「危害を及ぼしてはいないのに?」
どうして、どうして庇ってくれるんだろう。
証拠も証明もできないのに。
宇「おいおい、どうした
お前が派手に言い合うなんて珍しいじゃねぇの」
甘「(Aちゃん凛としていてかっこいいわ…)」
無「Aさん…どうしたの?」
Aさん。
やっと彼女の名を聞けた。
髪の長い少年がAさんに近付くと、彼女はその少年の頭を少し強めに撫で始めた。髪がボサボサになるまで。
貴「私もきっと同じだからね」
悲しい匂いが漂い、彼女は儚く笑った。
過去になにかあったのだろうか。そんなことを思わせる程に儚く散ってしまいそうな微笑みだった。
無「僕は鬼にならないよ」
貴「え、何で考えてること分かったの…?」
無「Aさん分かりやすいから」
? どういうことだろう?
状況が分からず周りの柱達の様子を見ると皆「「「またか…」」」と言わんばかりの表情をしていた。
煉「よもやよもや!またか!!」
伊「いい加減その癖を治せと言っているだろう
何度言ったらわかるんだ…」
胡「弟子想いなのはいい事ですけどねぇ」
笑う人、呆れる人、イラついてる人。
話が読めない。どういう事だろう?
伊「毎度毎度、時透に置き換えて考えるな」
貴「すみません…
治そうとは思ってるんですけど…中々……」
あぁ、なるほど。
俺と禰豆子の立場を自分と髪の長い少年に置き換えて考えてくれていたのか。
相手の立場になって考えてくれるなんて。
炭「(優しい人だ…)」
既に亡き母と重なってしまい少し目頭が熱くなった。
いけない、俺は長男だ!泣かないぞ!!
そんな時、座敷の襖が開いた。
「お館様のお成りです」
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時