第24話 冨岡さんと竈門兄妹 ページ28
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あれから冨岡さんの話を聞いた。
しのぶちゃんの言葉を思い出したのか「長い話になるが大丈夫か」と最初に言ってくれた。気にしてるのかな。
冨「───…2年前の話だ」
鬼がでたとの報告を受けた冨岡さんは任務遂行の為、雲取山へ向かった。そこで出会ったのが「炭治郎」と「禰豆子」。
炭治郎は家族を皆鬼に殺され、唯一生き残った妹の禰豆子は鬼と化していた。
貴「……なぜ、殺さなかったんですか
まさか冨岡さんが鬼に同情なんてしませんよね」
冨「…何か違うと思った」
貴「何か…?」
冨岡さんは禰豆子を始末しようとした。刀で身体も刺した。禰豆子は初めから怪我を負わされており、重度の飢餓状態。
一刻も人の血肉を喰らいたいその状態で、禰豆子は炭治郎を守るように、冨岡さんを威嚇したらしい。
貴「人を喰わなかった、と」
冨「……」
冨岡さんはコクリと頷き、話を続けた。
何か違うと感じた2人を元柱で現育手である鱗滝左近次を紹介し、育手の指導のもと約2年修行。その後鬼殺隊に入隊。現在に至るらしい。
貴「きっと柱合会議で処罰されますよ」
冨「分かっている」
貴「…けど不思議ですね」
冨「?」
貴「なぜ鬼の禰豆子を始末ではなく拘束なんでしょう
それも本部へ連れていくんですよ?」
鬼殺隊の本部。
それは鬼殺隊当主、お館様の産屋敷邸である。
場所は秘匿されており、隠の案内無しでは辿り着く術ははい。つまり鬼殺隊の最高機密と言っても過言ではないのだ。
そんな重要な場所に鬼を自ら連れていく、なんておかしいと思うのだが。
両手を組み、考えてみるが意図は分からず。
貴「…とりあえず下山しましょう」
私が足を進めるとその後ろを黙って着いてくる冨岡さん。
やっぱり冨岡さんは口下手なだけなんだよなぁ。だから不死川さんと伊黒さんに誤解されたまま嫌われてしまっている。
冨「……落藤」
貴「なんです?」
冨「俺は嫌われてない」
アッ、やっぱり気にしてたんですね。
後ろを振り向くと至って真剣な表情をしている冨岡さん。つい笑ってしまった。
貴「ふふふ、そうですね
私は冨岡さん面白くて好きですよ」
冨「!」
冨岡さんは目を大きく見開いた。
その後すぐいつもの無表情に戻り、私の前をスタスタ歩き始めた。
すれ違いざまの冨岡さんはムフフと嬉しそうに笑っていた。こっちまで嬉しくなってほっこり。
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時