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閑話 八月八日 ページ24

*





貴「誕生日おめでとう、無一郎くん!」



無「誕生日?」





……あぁ、そっか。



今日は8月8日、僕が生まれた日だ。

Aさんに言われて思い出した。言われなかったらずっと忘れていたかもしれない。



そもそも僕の誕生日は本当に今日なのか。

記憶を失っている身としては本当かどうかも怪しい。答えがわからないもどかしさに少し胸が苦しくなった。





貴「どうしたの?」





Aさんは僕の微かな表情の変わりを読み取ったのか、心配そうに問い掛けた。





無「…本当に今日が僕の誕生日なのかな」





言い終わったあとにハッとした。Aさんが折角祝ってくれたのに僕は何てことを口走っているんだ。

……だけど、記憶が無いから実感がわかないんだ。



記憶がないだけじゃない。

きっと来年にはこの出来事を忘れているだろう。また来年「あぁ、そういえば今日誕生日か」と同じことを思う。



物事が覚えられない不安が苦しさを倍増させた。





貴「なんだ、そんなことかぁ

無一郎くんの誕生日は間違いなく今日だよ!」



無「え?」





それを一掃するようにAさんはあっけからんと言った。





無「なんで分かるの?」



貴「だって無一郎くん本人から聞いたもん」





どうやらまだ記憶がある頃の僕に教えてもらったらしい。

ぽかんとしている僕を見てAさんは優しく笑った。





貴「大丈夫だよ、無一郎くん

記憶を失っても私が覚えてるし

忘れてしまったら私が教えてあげるから」



無「……うん」





胸の苦しさは不思議と無くなった。

Aさんは僕にまじないでもかけているのだろうか。





貴「私は無一郎くんと毎日過ごせて幸せだよ

生まれてきてくれてありがとう」





僕の頭を撫でているAさんの声色はお館様に似ていたような気がした。

すごく、安心する。





無「ありがとう、Aさん」



───僕も毎日幸せだよ





*

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:アニメ
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
- わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時

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