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「何でずっと言ってくれなかったの？」
卒業式の帰り道、突然引っ越しを告げられてから
たったの1週間後。
廉の家族が東京に引っ越すのを見送りに
最寄駅まで一緒に歩いている。
『せやから、急に決まったんやって……
……それに、A無駄に泣きそうやし』
無駄って何よ、と思いながらもすでに
涙が溢れそうだから何も言い返せない。
『電話するから……でもダメか。
パパとママの前じゃAよう喋れんもんな。
早よ、スマホ買うてもらいや。声聞きたいから』
廉に何でも見透かされているようで恥ずかしい。
それでも、声を聞きたいなんて言われたら
嬉しくてそれ以外のことはどうでもよくなる。
「……がんばる。それまでは……手紙書く」
そう言うと、『手紙か……』と呟いてから
『俺、文字書くの苦手なんやけど……』
と、当然のように言ってくれた。
別に、返事なんてくれなくても良いのに。
それはもちろん、欲しくないわけないけど。
最悪、私の自己満でも良いって思ってたから
正直嬉しかった。
「字、綺麗に書いてよ？ 読めないから」
ほんとはもっと言いたいことがあったけど、
しんみりするのも私たちらしくないと思って
そう言って返した。
廉もきっといつもみたいに
ふざけて返してくれると思ってた。
『……ずっとAだけやから。忘れんでな』
急に改まった声でそう言われて、
廉の方を見ると彼の目はうるんでいた。
「……うん」
別れるのが寂しくてずっと足元だけ見て
歩いていたから気づかなかったけれど、
私たちはいつの間にか駅前に着いていた。
廉の真剣な目を見ていると、
堪えていた涙が溢れてきた。
ぽん、と温かいものが頭に触れる感触があり、
廉に頭を撫でられているのに気づいた。
『浮気、するんやないで！』
私の髪をくしゃくしゃっとしてそう言った廉は
泣きながら笑って、私の前から去って行った。
それが廉と交わした最後の言葉だった。
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しおり(プロフ) - 夜木さん» またまたこのお話に戻って来ましたが…このアカウントも消えている、、、大好きな夜木さんを失ってしまうなんて考えた事も無かったです… (2021年2月24日 20時) (
レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - なるほど…最愛の人専用の携帯を買うんですか！100%本人！それだと確かに、他の人とは無理…！今考えてみると、式直前にあの電話が掛かってきたヒロインちゃんの式本番の精神状態が心配です。笑 (2020年7月7日 0時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夜木さん» 今日もまたボロボロに泣きました。わいも最愛の人が天に逝ったら誰にも教えてない電話番号を入れようと思います。ただ、多分もう他の人とは無理ですが。笑 (2020年7月7日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
夜木(プロフ) - しおりさん» 拝聴しました！嬉しいです！笑 (2020年7月7日 0時) (レス) id: 9b6e1cc694 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 夜木さん聞いてください。無言電話最高に大好きなんですよ。 (2020年7月7日 0時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜木 | 作成日時：2019年2月25日 19時
