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60,食えない男 ページ10

撮影会&グッズ販売も
終わりの時間に近づいた頃。

彼女の列に、最後の客が現れる。

?「久し振り」

A「え…」

その人の顔を見た瞬間、Aちゃんが固まった。

A「水無瀬(みなせ)さん…?」

水無瀬「覚えててくれたんだ。嬉しいなぁ」

……誰?

年齢は俺と変わらないであろう男性だが
落ち着いた振る舞いで“大人の男”という感じだ。

水無瀬「綺麗になったね」

A「あはは…ありがとうございます…」

知り合い?どういう関係?

聞きたいけれど…何かされている様子もないのに
突然飛び込むわけにもいかず、傍観するしかできない。



エマ「お知り合いですか?」

碧井「!?」

いつの間にかエマちゃんが二人の間に割って入っていた。

A「まぁ……」

水無瀬「過去にAさんとお付き合いしていた者です」

碧井「…っ」

エマ「元カレさんですか!」

Aちゃんの…元カレ…?

元カレがライブに来ていたってこと?

水無瀬「ああ、そうだ。チェキ券も買ったんだ。
せっかくだから…撮ってもいいかな?」

A「あ、はい…」

今までのファンへの対応とは違い
辿々しい返しをしている彼女。

…そりゃあそうだ。元カレ相手だもんな。

水無瀬「SNSでライブの映像が回ってきてね。
まさかとは思ったんだけど…名前もそのままだったから
気になって見に来たんだ」

エマ「それはそれは、ありがとうございます。
あっ、私ライブを主催しているエマといいます」

水無瀬「ああ!貴方がそうでしたか!
お若いのに、こんなに大きなライブの主催とは…感心します」

エマ「まぁ、それほどでも」

水無瀬さんとやらはとても社交的な人の様だ。
エマちゃんも淡々と会話を続ける。

水無瀬「Aさん、最近は…」

エマ「あっ。すみません。
世間話に花を咲かせたいところだとも思うんですが…
そろそろ終了の時間なんです」

水無瀬「おっと…そうですね。では一旦外に出ます。
素敵なライブでしたので、また来ますね」

エマ「ありがとうございます」

気不味そうにしている俺と彼女に気遣ってくれたのだろう。
話が長くならない様に切り上げてくれた。

水無瀬「じゃあ、あとで。会場の外にいるから」

A「え…」

それだけ言い残して、水無瀬さんは会場から出て行った。



エマ「食えない男ですね」

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設定タグ:オリジナル , 男主人公 , 片想い   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時

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