マーメイドルージュ

012 帰り道 ページ12

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｢………ありおか、だいき、｣





大貴｢そう。有岡大貴。｣









おうちまでの帰り道、彼の隣を歩く。









｢……じゃあ、有岡くん？｣






大貴｢大貴でいいよ。｣






｢……だい、き。｣






大貴｢っ、…………そう、大貴。｣









自分がそう呼んでって言ったのに。ぴくってしないでよ。目を見開いたのが可笑しくてクスクス笑ったら、少し耳を赤くして、何だよ、って恥ずかしそうにしている。

でも『大貴』はわたしも恥ずかしいから、









｢大貴くん、ね。大貴くん。｣





大貴｢うん。｣





｢大貴くん。｣





大貴｢ん？｣









そうやって、お兄ちゃんみたいな顔で首を傾げてくれる仕草が嬉しくて、用もないのに呼んでしまう。









大貴｢何だよ、｣






｢ううん、呼んでみただけ。｣









ごめんなさい。

もう…、って呆れ顔の大貴くんはガシガシと頭を搔いて視線を逸らす。調子狂うわ、って。どういう意味？









大貴｢そうやってね、あんま可愛いことすんのだめ。｣





｢かわいいこと？｣





大貴｢ほら首こてんってしないで、｣









はぁ、って。大貴くんがため息をひとつ。また視線がどこかへ行ってしまった。









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