030 ホームルーム ページ30
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12月23日
[大貴くんにお別れを言った。
明日が来るのが怖い。]
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・
先生｢自分で言うか？｣
｢はい。｣
終業式の後、教室でのホームルーム。
席を立ち、前に出るわたしをみんなが不思議そうに見つめる。久しぶりに緊張した。
｢転校することになりました。突然なんですが、みんなに会うのは今日が最後です。｣
ザワザワとする教室。
きっと誰よりも、大貴くんが驚いているはず。
どんな顔をしているだろう。
怖くて、大貴くんのほうを見られなかった。
先生｢隣町に引っ越すそうだから、これからも会えるとは思うけど、みんな最後まで仲良くな。｣
ひと通り引っ越しの話が終わり、先生が次の話題に映る。
自分の席に戻る途中、大貴くんとは一度も目が合わなかった。いつもは席の横を通るたびに話しかけてくれる大貴くんが、今日は黙っていた。
・
放課後は出かける約束をしていたものの、引っ越しのことで怒ってるかもしれないと思い、せっかくの約束を断ってしまった。
急用ができた、なんてわかりやすい嘘。それでも大貴くんは快く許してくれた。
いっそ、このまま会わずに未来に帰ってしまおうか。そのほうがわたしも大貴くんも、傷つかずに済むかもしれない。
大貴くんの前で泣き、ユウリの前でも泣いたあの日から、少しずつ覚悟を固めてきたつもりだった。
それなのにこうして前日になって、もう大貴くんに笑って会える自信がない。顔を見ただけで泣いてしまいそうなほど心は弱って、わたしの覚悟なんて脆くて儚いものなのだと改めて気づく。
夢なら夢で、現実に戻れなくても、大貴くんといられるならこの夢の中で一生笑っていたい。
こんな寂しい時に限ってユウリも現れないし、ひとりで家にこもった。食欲もない。眠りにもつけない。でもこのままお別れって、そんなの残酷すぎる。
せめてさよならを言いたい。本当のことが言えなくても、最後にもう一度大貴くんの顔が見たい。そう思ったら、あれほど怖かったのに、とっさに連絡している自分がいた。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました！！ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (
レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました！！めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ幸せでした！またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました！ (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2019年12月1日 12時
