026 なんて冷たい女 ページ26
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12月17日
[クリスマスの話をした。
涙が止まらなくなって、大貴くんを困らせた。]
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いつのまにか随分と息が白くなった。
肌を刺す冷たい空気。澄み渡る青い空。かじかんだ手を擦りながら、学校からの帰り道を歩く。
あの日から、大貴くんが余計に男らしく見えて仕方ない。ふとした瞬間にもドキッとする。一体どこまで好きにさせたら気が済むんだろう。
大貴「うー。さっみぃ。」
鼻の頭を赤くして、肩をきゅーっと上げて鼻をすすっているその横顔からは全く想像できない。こんなに可愛いのに。
大貴「ん、何?」
「えっ?」
大貴「いや、ずっとこっち見てるからさ。」
「あ、ううん…」
何だよ、ってクスクス笑っている大貴くん。
愛おしそうな目。幸せだ。こんなに寒いのに、心がじわーって温かくなるような。
大貴「もうすぐクリスマスだな。」
「っ、……ね。」
大貴「どうしよっか。イルミネーション見に行ってもいいし、ごはん行ってもいいし。Aの行きたいところ…」
「いいよ、そんなの。」
大貴「ん?」
「特別なことしなくていい。」
ぽかん、とする大貴くん。
そりゃそうだ。普通のカップルならきっと楽しみで仕方ないはずの一大イベント。みんなデートの予定を立ててわくわくするんだろう。
ほんと、なんて冷たい女なの。
思い出づくりにデートしたっていいのに。言わなきゃわかんないのに。
でもどうしたって虚しすぎるんだ。さよならだとわかっていながらデートの予定を立てるなんて。
曖昧な気持ちじゃないから。中途半端な想いじゃないから。だから嫌なんだ。とっくに、もうとっくに、戻れないほどに思いは募ってる。
彼が好きでたまらない。
今、隣りで、複雑な顔をしているわたしを心配そうに見つめる彼が大好きで大好きで。どうしようもない。
大貴「A?」
「……………」
よりによってクリスマスイブに、恋人たちにとって大切な日に、別れなくてもいいじゃない。どうしてこんな意地悪な運命なの。もうやだ。
大貴「どうしたんだよ。」
「、何でもない。」
大貴「嘘。」
「嘘じゃない。ほんとに何でもな…」
大貴「何でもなくねえ顔してんじゃん。」
大貴くんの少し強い口調に、何も返せなくなった。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました!!ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました!!めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです! (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ幸せでした!またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました! (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2019年12月1日 12時