023 継がないの？ ページ23
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大貴｢ねー。これ何の罰ゲーム？｣
わたしの少し後ろを歩く大貴くんが、制服のポッケに両手を突っ込んだままぶつくさと文句を言う。
｢だってこの前は定休日だったもん。すごい！夢みたい！憧れてたニューワールドだよ。｣
大貴｢こんなんより、絶叫マシンとかおしゃれな食いもんとかやってる遊園地のが楽しいんじゃねーの？｣
｢だって小さい頃から来たかったんだもん。まさか１回も行かないうちになくなっ…｣
言いかけて、ぴたりと止めた。
ん？と不思議そうな大貴くん。ああもう。何やってるんだろう。タイムスリップのことがバレたら、大貴くんに関する記憶もなくなってしまうというのに。気を抜いてちゃいけないな。
｢なんでもない。｣
大貴｢じゃあほら、何か乗れば？せっかく来たんだし。｣
｢ちょっと、他人事みたいに。一緒に乗ってよ。｣
大貴｢やだよ。従業員みんな顔知ってっから茶化されるし。俺はここで身を潜めてる。｣
そう言って、ベンチに腰掛ける大貴くん。
その腕をグイグイ引っ張って、やだやだと子どもみたいに駄々をこねる彼とコーヒーカップの列に並んだ。
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大貴｢もう満足？｣
｢うん。楽しかった。ありがとう。｣
夕方。夜の営業をしていないニューワールドは、もうすぐ閉園時間ということもあってお客さんがまばらになった。
ベンチに並んで腰掛け、なんだかんだ付き合ってくれた大貴くんにお礼を言うと、楽しかったならいいよ、と優しく微笑んでくれた。
｢ここ、継がないの？｣
大貴｢ん？｣
ああまた。やめておけばいいのに。どうしてもこの遊園地がこれからも続いていかないだろうかと願ってしまう自分がいる。
｢やりたいことがないなら尚更。ニューワールド継げばいいのに。｣
大貴｢んー、まあそうなんだけどさ。あんま急ぐことでもないかなーって。｣
｢急ぐことだよ。｣
大貴｢ん？｣
｢いつなくなるかなんてわかんないよ。気づいた時には手放しちゃってるなんて、そんなの寂しくない？｣
大貴｢どうしたんだよ急に。｣
あはは、と可笑しそうに笑っている大貴くんは、きっとまだ知らないんだね。ここがショッピングモールの建設予定地になること。
大貴くんのお父さん、まだ知らないのか。それとも、まだ言ってないのか。
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いく(プロフ) - パレードが始まるが頭の中に流れました！！ステキなお話をありがとうございます。 (2020年8月9日 10時) (
レス) id: bf142477e0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ - むぎさんの作品まじで大好きです。何億回でも読めます。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 62a0eb8cec (このIDを非表示/違反報告)
じゃん - 受験終わったあとの楽しみにしてて、今日読み終わりました。相変わらずむぎさん最高すぎます。大好きです。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
梨(プロフ) - 好きすぎました！！めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃドキドキしたし有岡くんが有岡くんで、このお話大好きです！ (2020年3月14日 16時) (レス) id: d970aa184c (このIDを非表示/違反報告)
ねこ。(プロフ) - 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ幸せでした！またいつか機会があれば、未来に戻ってから結婚までのお話も気になるので、読めたら嬉しいな〜と思いました！ (2020年1月1日 13時) (レス) id: f99e88b778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぎ
| 作成日時：2019年12月1日 12時
