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072 史上最悪 ページ23

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名取side









名取「現在の状況は?」






「三度目の崩落はまだ起きていません。ですが、一両目の車両がある場所はかなり崩落の可能性が高いので我々も立ち入ることができません。現在は、全体で300人程度の負傷者が出ています。」






名取「300?」









現場に向かうまでの道中、早足に歩きながら救急隊員から状況を知らせてもらう。すぐに無線を繋ぎ、ヘリにいる白石先生に連絡を取った。









白石「わかった。重傷者は線路内にいるのね?」





名取「ホームまで出られている患者は軽傷です。後発の先生に任せていいですか?」





白石「あと5分で着く。トリアージはこっちに任せて。緋山先生と名取先生は現場の重傷者をみて。」









冷静な返答があり、俺はさらに奥へと向かった。

泣き叫ぶ子どもの声や、通りすがりに腕を掴んでくる女性。みんな助けを求めてる。だけど、ほんとに助けを必要としている人は声すら出せないことが多い。申し訳ないけど、すぐに別の医者が来ますからと引きはがす。









「こちらです。」





名取「っ、」









案内された現場は、さっき見た現場を遥かに上回る残酷な状況だった。コンクリートがバラバラに割れて、瓦礫の山がいくつも積み上がっていて奥までよく見えない。血だらけの急患が何人も足を引きずりながら救急隊員に支えられている。

瓦礫の隙間からのぞく患者の腕。上半身が埋まっている患者の足先だけが見えていたり。必死にトリアージが行われ、患者の手首に次々とタグが付けられていく様子が見える。









ふと上を見れば、今にも落ちてきそうな電光掲示板からビリビリと電気が漏れている。重機の音や、レスキュー隊の声が飛び交う中、俺はひとつ息を吐いた。









「先生こちらお願いします!」





名取「、はい!」









レスキュー隊に呼ばれ、足元の悪い現場を走る。瓦礫だらけで、砂ぼこりも舞う。ライトだけで照らされた薄暗い現場。明らかに、史上最悪の大事故だった。









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しゅあ(プロフ) - 初コメ失礼します!もうハッピーエンドで安心致しました。うるうるしながら最終的に号泣でお話読んでました!最後の救命メンバーからの一言には少しクスッとしてしまいました(笑)本当にこの作品作って下さりありがとうございました! (7月23日 0時) (レス) @page50 id: d9ff4faa7c (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - 多分初めてコメントをすると思います!既に何回か読んでます!いつ読んでも感動しますし引き込まれます!山田先生も好きだったんじゃ…?って毎回思うのですがそこはもうそう思ってしまっていいのでしょうか(^ ^)?わら 続編書く気になりましたら楽しみにしています! (2022年5月22日 1時) (レス) @page50 id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
- 復帰するお話が見たい (2021年4月18日 2時) (レス) id: 5513b83dfa (このIDを非表示/違反報告)
知念菜々(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編で育休が明けて病院に復帰する話が見てみたいです! (2020年2月9日 16時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 最後、なにがあっても幸せな形で終わる、です!誤字りました、、すいません、、 (2019年11月17日 23時) (レス) id: db28430fd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぎ | 作成日時:2019年1月19日 12時

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