071 想像を遥かに超える ページ22
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名取side
こちらです!通ります!
そう叫ぶ救急隊員の後ろを全力で走る。停止しているエスカレーターを駆け下り、到着した現場は……
緋山「、嘘………」
絶句するほどの負傷者。何百人もの人でごった返すその現場は、騒がしくてスタッフの声もよく聞こえないほど。老若男女、さまざまな負傷者がそこらじゅうで倒れ込んだり、血を流したり。騒然とする地下鉄のホーム内は、想像を遥かに超える現場だった。
床にべったりと付着した血液、うずくまって泣きわめく小さな子ども、救急隊員に支えられながら足を引きずって歩く老人、倒れ込む女性、頭から血を流す男性。さまざまな負傷者が行き交う中、救急隊員が俺たちのところへ走ってきた。
「下の線路内に降りてもらえますか?重傷者をここまで上げられないんです。」
緋山「わかりました。」
その時、耳元に無線が入る。白石先生だ。
白石「緋山先生、名取先生聞こえる?想像以上に負傷者が多いから、できたら二手に分かれて動いて。今わたしと藍沢先生も現場に向かってる。タッチアンドゴーで藤川先生と岡本先生にも向かってもらうから。今は救急隊員の人に、重傷者のところにそれぞれ案内してもらって。」
緋山「わかった。」
白石「あと、」
走り出そうとした時、白石先生が引き止めた。
白石「名取先生、これは今のあなたに必要な情報かはわからないけど。名取Aさんが今いる場所は、さらなる崩落の可能性があって安全確認が取れていないの。」
名取「………はい、」
白石「だから、わたしたちドクターがそこまで立ち入ることは許されてない。レスキュー隊も近づけないって、今連絡があった。………ごめん、それだけ。」
ズズ、と無線特有の音と共に途切れた連絡。
緋山先生と顔を見合わせ、頷く。今はそんなこと考えている場合じゃない。俺はドクターとしてここに来てる。俺を待っている人はたくさんいる。この手で救える命が目の前にある。助けにきたんだ。俺は、ドクターとして。
名取「案内してください。」
「お願いします。こちらです。」
そう言って走り出した救急隊員に、俺も走ってついていく。停止したエスカレーターをさらに駆け下りていくと、そこは地下鉄の線路内。暗くて視界も悪い、最悪の状況だった。
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しゅあ(プロフ) - 初コメ失礼します!もうハッピーエンドで安心致しました。うるうるしながら最終的に号泣でお話読んでました!最後の救命メンバーからの一言には少しクスッとしてしまいました(笑)本当にこの作品作って下さりありがとうございました! (7月23日 0時) (レス) @page50 id: d9ff4faa7c (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - 多分初めてコメントをすると思います!既に何回か読んでます!いつ読んでも感動しますし引き込まれます!山田先生も好きだったんじゃ…?って毎回思うのですがそこはもうそう思ってしまっていいのでしょうか(^ ^)?わら 続編書く気になりましたら楽しみにしています! (2022年5月22日 1時) (レス) @page50 id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
う - 復帰するお話が見たい (2021年4月18日 2時) (レス) id: 5513b83dfa (このIDを非表示/違反報告)
知念菜々(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編で育休が明けて病院に復帰する話が見てみたいです! (2020年2月9日 16時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 最後、なにがあっても幸せな形で終わる、です!誤字りました、、すいません、、 (2019年11月17日 23時) (レス) id: db28430fd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むぎ | 作成日時:2019年1月19日 12時