検索窓
今日:37 hit、昨日:58 hit、合計:723,259 hit

061 わたしと、この子より ページ12

.









ナースコールが鳴って芹沢さんは患者さんのところへ行ってしまったけれど、その場にいる山田先生、伊野尾くん、岡本くんは何も言えず目を丸くしている。それもそうだ。ずっと隔離されていた彼がようやく出てこられて、初めて会った今日。わたしは突然冷たく煽られているのだから。









名取「何、抱きついて。見せつけてんの?」





「…ちがっ、」









呆れたように目線をはずす彼に、わたしだって気持ちが抑えられない。ぷつりと何かが切れて、口にするはずのなかった言葉たちが……









名取「嘘ばっか…」






「嘘つきはどっち!!」









シン、と静まり返るナースステーション。









「ほんとは………ナースの子かばってこうなったんでしょ?………守ろうと思って、」





名取「っ、………なんでお前、それ…」





「わたしよりその子が大事だから…、?だから嘘つくの?自分のミスだ、って………」









止まらない。目からぽろぽろとこぼれていく涙の粒は、拭っても拭っても追いつかない。どうして、どうして、嘘なんかつくの?どうして、わたしとこの子を孤独にしてまで、彼女を守ろうと思ったの?









名取「…っと、大丈夫かよ。」








岡本くんから離れて、ずっとひとりで立ってた体が、またふらついて。一番に気づいた颯馬が咄嗟に支えてくれたけど。









「…さわらないで、っ」









そう言って突き放す。

すると、無言で山田先生が支えてくれた。今は離してあげな、と彼に目で訴えながら。それを見て、名残惜しそうな仕草で手を離す彼。









「……わたしと、この子より、大事なんだね。」






名取「誰もそんなこと…」






「じゃあ本当のこと言ってほしかった!!」









………ああもう、最悪だね。









.

062 素直になれない→←060 ここにいてくれること



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (967 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5256人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

しゅあ(プロフ) - 初コメ失礼します!もうハッピーエンドで安心致しました。うるうるしながら最終的に号泣でお話読んでました!最後の救命メンバーからの一言には少しクスッとしてしまいました(笑)本当にこの作品作って下さりありがとうございました! (7月23日 0時) (レス) @page50 id: d9ff4faa7c (このIDを非表示/違反報告)
asumin110(プロフ) - 多分初めてコメントをすると思います!既に何回か読んでます!いつ読んでも感動しますし引き込まれます!山田先生も好きだったんじゃ…?って毎回思うのですがそこはもうそう思ってしまっていいのでしょうか(^ ^)?わら 続編書く気になりましたら楽しみにしています! (2022年5月22日 1時) (レス) @page50 id: 310d1e6e98 (このIDを非表示/違反報告)
- 復帰するお話が見たい (2021年4月18日 2時) (レス) id: 5513b83dfa (このIDを非表示/違反報告)
知念菜々(プロフ) - 完結おめでとうございます!!続編で育休が明けて病院に復帰する話が見てみたいです! (2020年2月9日 16時) (レス) id: 70738b0893 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 最後、なにがあっても幸せな形で終わる、です!誤字りました、、すいません、、 (2019年11月17日 23時) (レス) id: db28430fd5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むぎ | 作成日時:2019年1月19日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。