17. ページ19
・
「先輩！」
翌日。
欠伸をしながら通学路を歩いていると、後ろから軽く肩を叩かれた。
イヤホンを取りながら振り返れば、そこにはつい先日知り合ったばかりの人物の姿が。
『二郎くん』
「おはよ、うございます」
『ふふ、おはよう』
若干ぎこちない敬語に少し笑いながら私も返す。
多分普段はあまり使わないんだろうな。
「先輩の家もこっち方面なんですね」
『うん、二郎くんのお家も？』
「まあ…そうっすね。
あの、思ったんですけど、先輩ってもしかして…俺の兄弟の事とか、知らない…ですか？」
躊躇いがちに、恐る恐るといった感じで私の方を見てくる二郎くん。
学校一の不良くんのこんな顔、学校の人達が見たらきっと驚くだろう。
『兄弟いるんだね？』
「やっぱり………！！！」
『え、』
思った事を正直に言ったら、二郎くんは頭を抱えて膝から崩れ落ちた。
それはもう絵に描いたように綺麗な崩れ落ち方だった。
「これでもイケブクロ背負ってんのに……待てよ、て事は兄ちゃんの事も知らない…！？いやいや落ち着け、先輩だって流石にThe Dirty Dawgは知ってるよな…」
『え、えっと…』
蹲ったまま何かブツブツと呟いている二郎くん。
どうしよう、何かまずい事でも言ってしまったのだろうか。
「……よし、そうだな」
『あの、二郎くん…』
「先輩！」
『はいっ！？』
そろそろ通行人からの視線が痛いので、二郎くんの肩に手をかけようとしたが、いきなり立ち上がるからびっくりして手を引っ込めた。
そしてつい反射で返事をしてしまう。
「今日、うちに寄って行きませんか！？」
『………え？』
間抜け面。
まさに私の今の顔には、その言葉が似合うだろう。
『えぇ！！？』
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1834人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麦子(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます。頑張ります(*^^*) (2018年12月6日 18時) (
レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね！ 応援してます！ (2018年12月5日 23時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - すらいみーる@元もちづきさん» リクエストありがとうございます…！了解しました！ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
すらいみーる@元もちづき(プロフ) - リクエストなんですが、主人公ちゃんと二郎が二人っきりでいちにいが帰ってくるまで留守番するお話読んでみたいです…！！ (2018年11月25日 23時) (レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 錐さん» ありがとうございます。とても嬉しいです。 (2018年11月23日 23時) (レス) id: 7a9f7e3baa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麦子
| 作成日時：2018年9月22日 11時
