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この時代に飛ばされて早一週間。
私は未だ戻れないままだ。
…あの異能者の捕獲に相当手間取っているのだろうか。
はあ…と溜め息を吐いた直後。
「Aちゃーーん♡今暇?お茶でもしない?」
「先ず手前は報告書書けやぁぁぁぁ!!!」
『……元気だね二人共』
バーン!と勢い良く扉が開いて、双黒の二人がドタドタと入って来た。
この一週間で何故か懐かれてしまい、やたらと構ってくるようになった。
…まあ、寂しくなくて良いんだけど。
『はいはい、太宰幹部も中原さんも仕事に戻った戻った。お茶はその後にしましょ』
「えっ、本当!?一寸中也退いて、私仕事するから」
「切り替え早ぇなオイ!?」
太宰さんの扱いはもう慣れている。
今も昔も仕事嫌いには変わりないらしい。
「………マジで戻って行ったぞ彼奴…」
『あはは…毎度毎度お疲れ様です』
「いや、お前が居てくれて助かるわ」
そして中也さんはいつも苦労人だ。
彼の人の相棒は楽じゃない。
「…なあ、今日の夜暇か?」
部屋を出て行く間際、中也さんが唐突にそんな事を言った。
首を傾げつつも頷くと、
「じゃあ少し、付き合ってくれよ」
と微笑んだ。
暫く机に突っ伏して動けなかったのは彼の所為。
…あれは反則です。
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『わあ…!すごい…』
そして夜。
中也さんに連れて来られたのは、私が初めに倒れていた場所だった。
昼間とは違って月明かりの花畑っていうのも良いかもしれない。
「お前、毎日頑張ってるからさ。一寸した俺からの労いだ」
『え……』
ほんっと、この人は…………
思わず溢れそうになったものをぐっと堪えて、「ありがとう」と笑い返した。
ロマンチストな所は前からか。
「いきなり連れて来られたのに、仕事覚えるの早いし太宰の野郎をもう手懐けるし、こっちは大助かりだぜ」
『ふふ、お役に立てたなら光栄です』
二人で花畑に腰を下ろして、暫く星空を無言で見上げた。
横浜でもこんなに綺麗に見える処があったなんて初知りだ。
今度また来てみようかな。
『………、』
ふと、前に探偵社の皆で星を見た時の事を思い出した。
確かあれは海に行った時の事だっけ……
『…皆、元気かな』
感傷的になっても仕方ないけど。
でも、そろそろ…
『………かえりたい、な』
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林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - うひゃぁあ更新有難うございます待ってました!!!いつ見ても面白いです!!これからも応援してます − !! (2019年4月30日 0時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
ふらん - 続きがとても気になります! (2018年8月20日 14時) (レス) id: dbdc3a2a0b (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - ザクロさん» 主人公が除霊(物理)したので大丈夫です!!(笑) (2018年7月16日 2時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - ザクロさん» ありがとうございます!^^ (2018年7月16日 2時) (レス) id: 564537986a (このIDを非表示/違反報告)
ザクロ(プロフ) - 敦君。逃げて! (2018年7月10日 23時) (レス) id: cf0e41908a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年6月16日 21時