JKとちびっこマフィア【番外編】 (ページ20)

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『前にオカルト好きのお客さんが教えてくれたんです。

あの森は昔、死体遺棄事件があった場所らしくて、

その事件以来、毎年この時期になると成仏できない被害者の霊が森を彷徨うって……』

と、ワントーン低い声で語るA。

昼なのに部屋の温度が下がった気がした。

「……ほう、では例の声はその霊…」

「それじゃあ俺達じゃ何もできねェなぁ」

「祓い屋にでも頼んだらどうじゃ？」

あら、マフィアの方は意外に大丈夫そう。

まあ普段から幽霊よりえぐいの見てるからなあ。

それに流石に皆いい年してるし、そんな怖がる人も居ないだろう────

と思ったAだったが、探偵社の方を見て「え」と声を漏らした。

「だ、太宰さん、僕矢っ張りこの仕事はうけられましぇん…！」

「取り敢えず落ち着こうか敦くん？震えすぎて呂律回ってないから」

「…………」

「あれっ、国木田くーん？おーい？」

敦はマッサージ機にでも座っているのかと思う程ガタガタと震え、

国木田に至っては顔面蒼白で思考停止している。

太宰がツッコミ役に回る程の事態であった。

『………大丈夫かこれ』

悲惨な状況を見て、Aは思わず呟いた。

早くも先が思いやられる。

「……ふむ。A、其れを祓えるか？」

『……………ハイ？』

顎に手を当て何か考えていた福沢が、唐突にそんな事を云い出した。

「ああ……そういえばそうでしたな。A君ならできるかもしれないですねぇ」

『何云ってるんですか、無理です、できないですって』

「お爺様から教わっていないのか？」

『それは……多少は教わりましたけど、』

「なら大丈夫だよ。やってみなきゃ判らないだろう？」

『えええ……』

森と福沢とAで進んでいく話の内容について行けないその他のメンバーは、揃って首を傾げた。

蚊帳の外にいた太宰が耐えかねて発言する。

「あのー、Aちゃんの家は一体…」

「ああ…そういえば皆は知らなかったね。

A君の祖父は、霊媒師をしていたのだよ」

中也でさえも初耳の真実だった。

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