素質 ページ18
「打ち方と考え方、ってのは同じようなもんだが……オレみたいな変則打ちは常に危険と隣り合わせだ
牌に対する嗅覚の有無、自分の運も絡んでくる
さっきの字一色だってハイテイツモでアガれなければそれまでさ」
「で、でもあれは……アカギさんが必ずアガるって」
アカギさんは少し大きめに息を吐いた。
ぐりぐりとタバコを灰皿に押し付けると、右手はそのまま傍の牌を転がし始める。
「イカサマでもしてるならともかく、必ずアガれるなんて保証はない……
あれは運が良かっただけ
言ってしまえば、オレの麻雀はそういった運も絡んでくる
アガれなかった、勝てなかった場合は30万だろうが300万だろうが背負ってやるさ」
「……土俵が違う、っていうのは」
賭けているものの差、だろうか。
そもそも私はアカギさんやさっきの3人みたくお金や何かを賭けたりなんてしない。
ゲームの一種として麻雀を打っている。
土俵が違うというのは、そういう意味だろうか。
「……察しはついていると思うけど
Aさんがやってるのはゲームとしての麻雀
オレがやってるのは博打──賭け事だ
ここが一番の差だな」
アカギさんは右手で転がしていた牌のひとつを指で私のほうへ弾いた。
「言わずもがな──
賭けるものの有無、大小で勝負の質は随分違ってくる
ここの根底に差異があるようでは、オレの麻雀を教えたところでどうしようもない」
「アカギさんみたく、何百万のレートで打つなら話は別、ってことですか？」
私がそう言うと、アカギさんは目をぱちくりさせて一瞬固まったかと思ったら、今度はまた大笑い。
こんなに笑うアカギさん、稀だ……。
「な……わ、私、真剣に聞いてるんですけど！」
「フフフッ……悪い悪い、
いや……無理だよ、Aさんには。
人が良すぎてダメ」
くつくつと笑いを堪えながら、アカギさんは続けた。
「ただ、素質はあるかもよ」
「素質って？」
「アンタ、えらく大きなものを賭けてたじゃない
忘れちまったの？」
「……？」
アカギさんが知っていて、私が賭けた大きなもの…………？
しばらく考えて、ふと思い出した。
「もしかして、組長さんのお孫さんとの──」
アカギさんを婿にとる、なんてとんでもない話を持ちかけてきたあの夜の闘牌……そのことを言っているのだろうか。
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南南東(プロフ) - 一気読してしまいました。アカギとのやり取りの一つ一つが素敵です!!更新待ってます！ (2022年5月11日 0時) (
レス) @page21 id: 74d17b21fe (このIDを非表示/違反報告)
唯 - 初めから最新話まで、一気に読んでしまいました!♪ アカギさん初め、他のキャラクター達の人物背景も崩れてなくて、展開もキュンキュンしたりして、本当に夢中で読んでいました。更新楽しみに待っています。最近は、冷え込む日も多いので、お体には気をつけて下さい。 (2020年1月20日 18時) (レス) id: a44ec662f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戦犯にわか | 作成日時：2019年12月22日 21時
