Prince of volleyball .

# 04 ページ4

柳田視点 .









｢ ...あ、大路Aです。えと...柳田、先輩ですか...よろしくお願いします... ｣









そう言う彼...いや、彼女は去年、無名の高校を春高バレー初出場、3位に輝かせた立役者。


後輩である、関田に誘われ、見に行った春高バレーで一際目立っていた" 王子様 "


俺も恥ずかしながら、" 春高のプリンス "と言われていたことがあり、


関田から｢ マサさんと同じ異名を持つイケメンがいるらしいっすよ！(笑) ｣と言われた時には特に何にも感じなかったはずなのに。


何気なく行ったついでに女子の試合を見てみれば、力強くえげつない角度のサーブ。何処からでも打てるスパイクに、自身の身体を倒れさせながらも上げるレシーブ。


こんなのに、目を奪われない人がいる訳ない。


その上、男子のような髪型に整った顔、肩幅がかなりあり、華奢な女子の体型ではなく、少し筋肉質の男子のような体型だった。


...こんな彼女を世間は放っておく訳もなく、俺なんかより、圧倒的に彼女のほうが有名になった。


俺も彼女のファンの1人。彼女が取材されていた雑誌等は全て買ったし、熟読した。


肩幅が広いのは水泳をやっていたから、だとか。
筋肉質なのは親からの遺伝なんじゃないか、とか。


同じバレーボール選手として、確実に俺は1つ下の...しかも女子の大路Aに憧れていた。


...だから、彼女が慶應義塾大学に来る、と聞いた時には柄にもなくはしゃいでいた。


もしかして、俺のことを知ってくれていた？


そう考えるのも無理はなかった。世間もそう思っていただろうし、じゃなければ何故来たのか謎だったから。


けど、そんな期待はすぐに裏切られる事になる。


まず、学部が違うから会えない。慶應大のバレーは男女の接点はあまりなく、部活でも見かけすらしない。


たまーにある、半面を使っての練習でも、彼女はこちらを見るどころか、ずっと練習していた。


さっきだってそう。彼女は俺の名前すら知らなかったみたい。


...まあ、これから知ってもらえばいい。
あと、3年は同じ大学なんだから。


そう考えながらストレッチをする彼女を目に入れ、サーブの練習をする。









.

# 05→←# 03

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す