Prince of volleyball .

# 22 ページ22

TV(密着取材) .









" これから何処に行くんですか？ "


｢ ...今日はオフ、だったんですけど...体育館が使えるって事なんで少しだけ練習しに... ｣


" ストイックって言われません？ "


｢ ...ふ、言われたこと無いですね(笑)...大体サボるなって言われてきたんで... ｣









そう言って、我々に見せてくれた笑顔は、普段よりも幼く見える。


オフの日を潰してまで練習する彼女を誰一人としてストイックと言わない、これは何故なのか？


我々はそんな疑問を持ったが、珍しくも楽しそうに笑う大路の前では言い出せなかった。









｢ 着きました。...行きましょうか ｣









迷いのない歩みで体育館に入って行く大路。


中には誰も居らず、彼女は1人で準備を始めている。1人で練習するのだろうか？


端っこで見ていた我々は、準備が終わり、ストレッチをしている彼女の傍へ行き聞いてみた。









" 今日は1人でですか？ "


｢ ...んー、どうだろ...聞いてみますか？ ｣


" あ、はい "


｢ .....携帯、何処やった...？.....あ、あった ｣









普段、携帯を触らないのか、すぐに分からない携帯の場所に落とされた電源。


携帯を開き、誰かに電話をかけ始める大路。


相手は意外とすぐに出たようで、大路はロシア語で会話を始めた。









『 ...今日来るのか？ 』


"『 練習？今日は...そうね、誰か引き連れて行くわ 』"


『 ...ユリウス辺りを引っ掛けてきてくれ 』


"『 分かったわ、すぐ行くから待っててちょうだい 』"


｢ …あ、来るみたいです ｣









そう我々に告げるとストレッチを早々と終わらせ、コートへと足を進めた。


次に大路が始めたのはサーブ練習だ。


大路のプレーの強みである殺人サーブと呼ばれているほど力強いジャンプサーブ。もはや女子が放っているとは思えない音がボールを叩きつけられたコートから聞こえてくる。


大路のサーブは力強いだけでなく、男女含めた世界でも屈指のコントロール力を持っている。


大学時代の大学リーグでは、毎回違うコースに打たれるサーブに苦戦するのは当たり前のように感じてしまっていたほど、彼女のサーブはすざましいものだった。


サーブを打つ彼女は、何を考えているか分からない、相手からすると恐怖を感じるかもしれないほど無表情であった。


そこから30分、コートにはボールが叩きつけられる音が絶え間なく聞こえてきた。









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