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□matatagi side□
「うわッ!どうしたの瞬木くん!」
体育祭当日、頬に湿布を貼り現れた俺をクラスメイトは囲んだ。
アワアワと手を行き場のない手を彷徨わせる麗日さんや出久、葉隠さん。
俺は笑いながら
「大丈夫」
そう言った。
「よく見ると傷だらけだ…
怪我も治ってないのに大丈夫?」
『大丈夫。
ちょっと【失敗】しただけだから』
あの言葉は失敗だった。
あの後頬を叩かれ寝る時間も与えられないぐらいに稽古をつけられた。
おかげで寝不足、怪我にも少なからず影響がでた。
体の節々が痛む。
ああ、俺勝てるかな。
「瞬木ー!リカバリーガールが呼んでっぞ!」
切島が俺を呼んだ。
廊下には確かにリカバリーガールがいて、俺を手招いた。
「今日、私が無理だと判断したらすぐ止めるからね。
無茶だけはするんじゃないよ。」
『……それは
学校の、校長の判断ですか?』
リカバリーガールが口を開き何かを言おうとしたが、それを急に現れた相澤先生が被せるように溜め息を吐いた。
「俺が校長に話をつけてきた。
お前の意思を尊重してやりたいが、まだ先は長い。今無理していいことなんて、これからのことを考えれば小さなことだ。」
『昨日言いましたよね、興味ないって。
俺はこの先なんてどうでもいい。
俺は自分の体がどうなろうと興味ないです。傷ついても、骨が折れても、足が千切れても、俺は立ちます。
それがあの人の教育です。
俺は何があっても勝たなきゃならない。
常に上を向き、制さなければならない。
____俺は、【弱者】にはなれない』
教室が静まり、俺の声が響く。
ボロボロになりながら、つい前日敵に負けていながら、俺は何を言ってるのだろう。
これはただの意地だ。
格好悪い。
ああ、そんなことわかってるよ。
「お前が何と言おうが止める。
俺たちはお前を、瞬木家の瞬木Aではなく、ただ1人の生徒として守る義務があるからな」
_______________『うそつき』
心の中で呟いた言葉は相澤先生には聞こえないまま、俺は席に戻った。
無理しなきゃ、いいんだろ。
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おむらーす(プロフ) - 海乃さん» わぁあっほい…!ありがとうございます!!(大声)笑 (2017年4月24日 17時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
海乃(プロフ) - 是非、押させていただきます。(小声)笑 (2017年4月24日 8時) (レス) id: 48d7b38e5a (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - 優さん» 私にはもったいないお言葉です…ありがとうございます…!面白いですよね〜、DAYS(^-^) (2016年11月1日 23時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
優 - すごい面白いですね。自分に文才分けて欲しいです。DAYS好きです。 (2016年10月31日 21時) (レス) id: 0b03a041de (このIDを非表示/違反報告)
おむらーす(プロフ) - リオンさん» ありがとうございます!リオンさんの優しさに感動してうるっときました…!!応援ありがとうございます!大きなお世話なんかじゃないですよ!すっっごく嬉しいです!(^^) リオンさんも気をつけてください! (2016年8月17日 3時) (レス) id: dccc051f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おむらーす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時:2016年8月7日 0時