23.安全運転 ページ23
「A〜?おいでや〜」
チーノさんが手をパチパチと叩いて、招いて見せる。
いつまでもひとらんさんにくっついているわけにもいかないので、観念してチーノさんのそばに寄る。
「お!来てくれた〜!」
嬉しそうな声を上げ、ナチュラルに脇腹に手が回ってくるものだから慌ててはたき落とした。抱き上げられるのは勘弁だ。
「あらら、ご機嫌ナナメなん?」
ナナメってわけじゃないけど、良くはないのは確かだ。
『抱き上げるのはやめてください』
「え?俺のこと好きーって?」
言ってない。
「俺も好きやで!」
腰を折って、抱きついてくるチーノさん。体が縦に大きくて拘束力が強い。
『ちょっ、離して!!離してください!!!』
「アッハハ、嬉しいやろ〜」
ダメだ。この人話が通じない。
いや、話は誰にも通じないのだけど。この人はダメだ。
『ひとらんさん…ッ!』
チーノさんの隙間から助けを求めて手を伸ばすが、無常にも彼はヒラヒラと手を振るだけだった。
「楽しんでおいで」
ひとらんさんの見送りを聞くが早いか、体がふわりと宙に浮く。
「よーし、行こか〜!」
やっぱりこうなるのか。と、半ば諦めの気持ちはありつつ、慣れるのはまだまだ無理らしい。
『う、う、うぁ……』
揺られるのに合わせて自然と漏れ出る声が抑えられない。
わずかながらも抵抗を試みるが、体を離そうとすると揺れが増す。
仕方がないので大人しくチーノさんの首に腕を回せば、それに応えるように頭をひと撫でされる。
そんなこんなでたどり着いたのは立派な扉。
ゾムさんに比べると随分と安全運転だった。快適とは言えないまでも、まあ悪くはなかったかも…と彼のことを少し見直す。
私を片腕に抱いたまま、ノックもせずに扉を開けた。
「お待たせしましたー!」
「おーん、待ってたでー」
部屋の中にいたのはオスマンさん。それと、机を挟んだ反対側には知らない女性。
「まあ!女の子用の服ってそういう…」
女の人は納得したように頷いた。
「そ。そういうこと。ショッピくんは遅くなるみたいやね」
「みたいでーす」
私をソファの真ん中に下ろして、隣にチーノさんが腰かける。
「じゃ、先に始めさせてもらおかな」
「はい!お任せください」
2021.11.29
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ムチャ(プロフ) - 名無しさんさん» コメントありがとうございます。フィクションだから楽しめる設定ですよね…! (2022年1月31日 20時) (レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん - 少し怖い設定ですね…もし自分がこうなったらと考えると鳥肌が立ちます(褒めてます) (2022年1月26日 15時) (レス) id: 77d1f025e2 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - カンナフューラー・スカーレットさん» コメントありがとうございます!今後の展開の参考にさせていただきます…!引き続き頑張りますのでよろしくお願いいたします〜! (2022年1月24日 20時) (レス) id: 33a1921985 (このIDを非表示/違反報告)
カンナフューラー・スカーレット(プロフ) - めっちゃこの作品好きです!後下がリクしてるので私もいいですかね?受け付けてなかったら無視してくれて構いません夢主がピアノ弾いてみんながそれを聴いてびっくりするとかどうでしょう!trigger弾いたりしたら面白いと思います!これからも投稿頑張ってください! (2022年1月23日 17時) (レス) id: ac012606e8 (このIDを非表示/違反報告)
ムチャ(プロフ) - ぽっぷこーんさん» コメントありがとうございます。上手く盛り込めるかわかりませんが、今後の参考にさせていただきます…!引き続き頑張ります! (2022年1月20日 23時) (レス) id: 5c3af31097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ムチャ | 作成日時:2021年11月4日 21時