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名前で呼んで＊ON ページ42
黒い雲が一面を覆い
大粒の雨が窓に当たっては大きな音を立てる
“こんな日は家で過ごすのが1番“と
出かける準備していた手を止めた
予定が狂ってしまった休日
どうやって過ごそうかとソファーに座って考える
目についたサイドテーブルに置かれた
読みかけの文庫本を手に取ろうとした瞬間
“ピンポーン”と来客を知らせる音が鳴り響き
立ち上がりドアホンに近づいて通話ボタンを押すと
そこに立っていたのはずぶ濡れの彼だった
洗面所からタオルを手に取り
急いで玄関に向かいドアを開ける
「おりちゃんどうしたの？こんな雨の中…」
声をかけるけど返事はなく
その場を動こうともしないおりちゃんの腕を掴むと
玄関に向かい入れ持ってきたタオルで髪を拭いてあげる
気持ちよさそうな顔をしててされるがままのおりちゃん
その姿が可愛くてそのまま見ていたくなる衝動に駆られたけど
「お風呂入って温まってきて？」
と声をかけると
彼が期待していた言葉じゃなかったのか
ちょっとだけ不満そうな顔をして
コクンと頷きペタペタと足音を立てながら
お風呂場へと向かっていった
彼がお風呂に入っている間に
着替えをと思いクローゼットの中から出したのは
前におりちゃんが置いていった上下のスウェット
それを手に持ちお風呂場に向かう
「おりちゃん、着替えかごの中へ置いておくね」
声をかけても相変わらず返事はなく
うちの気まぐれ猫さんはご機嫌ナナメだな
なんて思いながらその場を後にした
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作者名：Soda | 作成日時：2022年10月25日 19時
