夢寐 Ⅲ (ページ34)

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『おで、ほんとは行くな、、って、言いたいんだけどぉ』

あーあ、また始まったよと
泣き上戸のあじと慰める平塚と黒ちゃんを横目に
Aはいつ来るんだとイライラしながらスマホを眺める

「わーく！何してんの？」

トイレから帰ってきた颯太が俺にベタベタとくっついてくる

「A待ってんだよ」

「ええ！！Aちゃん！？」

颯太がデカい声でAの名を呼ぶから慌てて口を抑えて
あじたちを見ると気づいた様子はなくホッとする
俺の行動で流石の颯太も気づいたのか小さな声で
“Aちゃんくるの？”と尋ねて来たから
“あいつもそろそろあじの生態を知るべきなんだよ”と俺は颯太に言った

それから少しすると
俺のスマホに着信音が鳴り相手を確認すると“A”で
あじに気づかれないようにそっと部屋を出て店の入り口へと向かう
店の前で立っていたAを見つけ電話を切り直接声をかける

「おせーよ！」

「ごめん。なかなか抜け出せなくて」

走って来たのか髪が乱れたAを見て
本当に申し訳なさそうにしてるのが伝わってきて
それ以上は何も言わなかった

飲んでる席の前まで行くと俺は襖に手をかける前に

「覚悟しろよ？どんなあじでも」

Aにそう伝えると
彼女の表情も見ずに俺は勢いよく襖を開けた