夢寐 Ⅲ (ページ21)

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プラネタリウムに着くと
コラボということもあり結構な人が並んでいた

一人だったら絶対帰っていただろうけど
今日は一人ではなく北川くんと一緒
2人で話しながら順番が来るのを待っていると
想像よりも早くチケット売り場の前に辿り着いた

「かしこまりました。お席ですが大変この回は人気でして
“カップルシート”しか残りがありませんがよろしいでしょうか？」

北川くんがチケット2枚と店員さんに伝えると
店員さんが返してきた言葉があまりにも衝撃的で
隣に立って聞いていた私は動揺が隠せずあたふたしてしまう

そんな私を他所に

『大丈夫ですよ。カップルシートでお願いします』

平然とした顔をして北川くんは店員さんに返事をした

室内に入ると
“暗いから気をつけてね”と
紳士的な言葉をかけてくる北川くん

チケットに記された番号を見ながら席へと向かうと
なんでこんないい席残ってたの？といいたくなるような席で驚いたが
もっと驚いたのはカップルシートに座る人たちの距離の近さだった

『あ、ここだね。』

柔らかそうな大きな丸いソファーに
ネイビーとピンクのクッションが1つずつ
先に座った北川くんはなかなか座ろうとしない私に
“始まっちゃうよ？”と心なしかキュルキュルした目で言ってくる

戸惑いながら先に座る北川くんの隣に少しだけ間を開けて座ると
少しだけ残念そうな顔に見えたのはきっと気のせいだろう

ゆーちゃんから“この際だから北川くんとカップルシート座っちゃいなよ”
なんて冗談で言われたことが現実になってしまうとは夢にも思っていなかった。