夢寐 Ⅲ (ページ18)

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月日は過ぎ今日は彼女の誕生日
タイミングよくお互い仕事も休みで
妹には渋られたけど家族も気を遣って泊まりで出掛けてくれて
俺の家でお祝いをすることになった

せめて料理くらいはと母親が心を込めて作ってくれた料理と
近くのケーキ屋さんで予約したチョコレートケーキで
2人きりAの誕生日を祝う

「自分の誕生日に光成と過ごせて幸せ！」

『俺もAと過ごせて幸せだよ』

本当に幸せそうに笑うAに自分も自然と笑みが溢れた

今日は家に泊まっていくA
お互いお風呂も入り終えてそろそろ寝ようかと
俺の部屋に2人で向かう

『A、寝る前にちょっといい？』

声をかけてベットに並んで座る
少し緊張した様子のAに“大丈夫だよ“と声をかけた後に
“目を瞑って右手出して？“とお願いをする

彼女が目を瞑っている間に
ベッドサイドにある引き出しからプレゼントを取り出し
彼女の右手にそっと置き“目、開けていいよ“と声をかけ
ゆっくりと目を開けるA

「これって…」

見ればなんなのか明らかに分かる
その物に動揺している様子のA

『誕生日プレゼント。開けてみて』

俺が促すと恐る恐るケースの蓋を開ける
中には大きさが違う指輪が2つ入っていて
小さいサイズの指輪を俺が手に取り
彼女の右手を持ち薬指に指輪を通す

その様子を黙って見ていた彼女の目に水分が溜まる中
もう一つの指輪を彼女の手に乗せ
“つけて？“とお願いする

震える手で指輪をもち俺の右手を持つと
同じく薬指に指輪を通す

『…光成、いいの？』

震える声で尋ねてくるA

「仕事の時はつけられないけど、ほら」

首元を見せるように自分の服を引っ張り
シンプルなネックレスを見せて
ここに通せば見えないからと伝えると
彼女から目から涙が流れる

そんな彼女の涙を指で拭ってやると
左手の薬指にキスを落とす

『次は、ここにお揃いのつけようね？』

そう伝えると
恥ずかしそうだけど嬉しそうに
彼女はうなづいた

『薬指の誓い』

fin