#37 ページ37
▽リリーside
思い返せば､テートに誘った時､
大体の断り文句が"ずらせない用事がある"だった｡
きっと東京での物件探しでもしてたんだろう｡
準備も着々と終わってきて､
今までのように頻繁に会えなくなるって思ったんかな｡
だからデートしてくれたんか｡
初めてAが泣いてるところ見た｡
なんだかんだ本当に強い女の子やと思ってたから
意外やった｡
心配や｡
やけど､芸人として､先輩として
引き止める訳にはいかん｡
せめて自信持たせて送り出してやらんとな｡
▽
マンゲキのライブ終わり屋敷と話ながら歩いていた｡
｢…屋敷ありがとう｡色々相談乗ってくれて｡｣
屋｢礼なんてええよ｡俺ら親友なんやから｡｣
いつでも力になるで｡
屋敷には新しく住む部屋の内見に付き合って貰ったり
引っ越すタイミングもアドバイスしてもらった｡
屋｢東京は大阪以上にハードやで、気を引き締めて来いよ｡｣
｢おうよ｡｣
屋｢じゃあまた東京で｡｣
そう言って別れた大阪駅｡
まだ希望は持てない｡
なんでや｡
大好きな石井さんや濱家さんやっておる｡
馴染み深い先輩も同期もおる｡
なのになんかつっかかる｡
｢…あ｡｣
九｢聞きましたよ｡センパイ｡｣
なんやの｡急にセンパイ呼び？
九｢僕には"まだ考えてない"って言ったくせに｡｣
嘘吐き｡って言われてもた｡
｢ごめん｡｣
九条｢喫煙所でずっとAさんの話あることないこと話したりますわ！
東京で反省しててください！(笑)｣
怒っていたのが嘘みたいにケロッとした顔になった｡
彼なりの優しさやろうな｡
｢ありがとう｡九条｡｣
九条｢ありがとうやなんて…｡
…絶対僕も売れて後追うんで覚悟しててくださいね｡｣
｢待ってるで｡｣
いつものように撫でると
ちょっと泣きそうになってた｡
良い後輩に恵まれていたと改めて思った｡
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作者名：あまから | 作成日時：2021年7月28日 21時
