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顔に集まる熱を冷ますようにお酒を飲むと、
横で悪魔がまたケラケラ笑っていた。
「二次会いくひと〜」
飲み会も終盤に差し掛かった頃、お決まりのセリフが聞こえてきた。芸人の飲み会が一次会で終わるわけはなくて、ここで帰ってもいいのだけど、迷う。
少し考えていると、遠い方から視線を感じた。
先ほど私の心臓を激しく動かせた目に、また捕まった
今度は唇は動いていない、だけど、そのくりくりの目が「行くな」と言っている気がした。
いや、もしかしたら、私がはやくふたりになりたい、
と思っているだけなのかもしれない。
「Aはどうする？」
『…すみません、今回はパスします』
「おっけ〜」
終電を逃した帰宅組は各々タクシーを捕まえて帰っていく。偶然か必然か、同じ方向なのは私と佐々木さんだけ。そんなふたりで乗り込むタクシーは、車の走る音がよく響いた。
『…わざとですか』
「なにが？」
家に着いて早々、私が切り出した言葉に少し嬉しそうな顔をする彼は本当にわかりやすい。
わざとだ、と確信してより一層膨れる私の頬で遊びながら「なんのこと？」と繰り返す。
『べつに、話しかけるなとは言ってない』
「おれ、そもそも他の人と楽屋でそんな話してないよ」
『……まぁ、そうだけど』
「二次会、行かなくてよかったの？」
先ほどまで私の頬を遊んでた手は唇に変わる。
細かくキスを落として、頬から耳に移って、
それがゆっくり唇に落ちて。
その度に揺れる肩と上がる体温が何よりも『寂しかった』と言っている気がして恥ずかしくなる。
『……行かなくていい』
「なんで？」
『隆史くんが行かないって目してたじゃん』
「気づいてないの？
Aが行かないでって言ってたんだよ」
「寂しくてずっと俺のこと見てたの、気づいてたよ」
その言葉に思わず反論しようとした唇は、
彼のそれに塞がれて出来なかった。
するっと服の中に入ってくる手を咎められなかったのが何よりの答えで、むしろ、彼の首に手を回して、もっと、と求めてしまうなんて想定外。
言葉ではなく、目で全てを暴かれるなんて思っていなかった。素直になれない私に「ほんと素直でかわいいね」と言ってのける彼に甘やかされるのも嫌いじゃないと気付いてしまったのも、全て彼の作戦通り。
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シロ(プロフ) - オリジナルフラグついてますよー (9月10日 19時) (
レス) id: c57e6e9baf (このIDを非表示/違反報告)
まつおか - 新作本当に嬉しいです！いつもひっそり読んでおります。文章が本当に素敵なので楽しみです！ (9月9日 23時) (レス) @page1 id: bb0b8ce110 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くる | 作成日時：2025年9月9日 22時
