第佰肆話「追走」 ページ18
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「ぶわっ!な、何?ヒェッ蜘蛛の巣!?うわわわ気持ち悪ぅ!!イヤァァ気持ち悪い!!!」
「Aッ!!」
ブンブン刀を振り回して身体中に引っ付いた蜘蛛の糸を払っていたら、後ろから名を呼ばれた。
刀を持ったまま振り返ると、炭治郎くんといのっちがこちらへ駆けてくるのが見えた。
……あ、やっぱ善逸くんは置いてかれたか。
「お前!親分より先に突っ走る奴がいるか!!」
「そうだ!Aは少し猪突猛進が過ぎるぞ!ちょっとは躊躇する事も大切だと思うぞ俺は!」
「いやごめん、つい身体が反応しちゃって……」
猪突猛進って、それいのっちやんけ……私までいのっち化しちゃったのかな?勇気と根性があると言ってくれれば尚良いな。
「っ!A、伊之助!」
「「!!」」
炭治郎くんが指を指す先に、人の姿があった。
隊服を着ている。つまり私たちの同業者。
炭治郎くんが彼の背後に回り肩を叩けば、ビクリと肩を震わせ何処か怯えた様子の隊員さんが咄嗟に刀を構えた。しかし己の肩を叩いたのが炭治郎くんだと分かると刀から手を離す。顔は恐怖の所為か強張ったままだが。
「応援に来ました。階級・癸、竈門炭治郎です」
「オナジク、癸の隊員です」
そう言えば、噛み砕くように「癸……?」と繰り返した彼だったが、見る見るうちに顔が引き攣っていく。
「なんで“柱”じゃないんだ……!!癸なんて何人来ても同じだ!意味が無い!!」
そう言った彼の顔面に、後ろから伸びて来た拳がめり込んだ。
ヒェッ、かなり痛い音したけど大丈夫か!?
そしてその拳の主はいのっちであり、彼は「意味のあるなしで言ったらお前の存在自体意味がねぇんだよ、さっさと状況を説明しやがれ弱味噌が!!」と言い切ってみせた。
言っておくが、当たり前だが彼より私たちの方が後輩である。そしていのっちに前髪を鷲掴みにされ、鼻から勢いよく血を垂れ流している彼が先輩である。
流石いのっち!私たちには出来ない事を平然とやってのける!そこにしびあこ!!
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えのぐ(プロフ) - 初めまして!もうこのコメント欄みないかもですけど一応言っておきます…百弍話の最後「異性には厳しい」と書いてありますが同性では…?細かいかもしれませんが…!この作品大好きですん。更新頑張ってください…! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 6a2a84fe35 (このIDを非表示/違反報告)
シアン(プロフ) - 今日1日で全部読んでしまいました()好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 8d130acbce (このIDを非表示/違反報告)
衣鶴奈(プロフ) - 夢主ちゃんが本当に面白すぎて1話ごとに必ず笑ってますwwめちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2019年7月29日 11時) (レス) id: 8c5e0feeb8 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - コメント失礼します。この作品が面白すぎて、全然原作知識ないのに壱から1日で読んでしまいました!!番外編も含め、続きすっごく楽しみにしています!! (2019年7月27日 22時) (レス) id: 8f71767d1e (このIDを非表示/違反報告)
棒人間 - 初めまして。この作品、とっても面白いですね!たまたま見つけて読んだのですが、この作品で鬼滅の刃の夢小説に目覚めました。応援しています!頑張って下さい! (2019年7月25日 21時) (レス) id: 804948c577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年7月21日 9時